吉備の国アート巡り(29) 夢二郷土美術館。

暫らく離れていたが、吉備の国へ戻る。
まずは夢二郷土美術館。
岡山駅前からバスで10分たらず、後楽園の前を通り蓬莱橋を渡るとそれはある。

ここ。

なんのかんのと言っても日本人は夢二が好きで、あちこちに夢二美術館がある。
20年ぐらい前、伊香保の夢二美術館へ行ったことがある。温泉町の夢二美術館、風情があった。東京にも夢二美術館はある。本郷の東大構内を抜けた裏、根津にこじんまりとした夢二美術館がある。いつか行ったら、夢二の世界そのまんまという若い二人連れの女性と行き会った。着物も化粧も夢二習い。日傘も持っていたのじゃなかったか。

ところで、岡山は竹久夢二の故郷。で、夢二郷土美術館である。
他とは違うぞ、夢二の生まれ在所であるぞ、ということであろう。

ここへ来るのは久しぶりである。
左前方、蓬莱橋の向こうは後楽園である。右手前に石碑がある。

こう記されている。
     青麦の青きをわけて
     はるばると逢ひに来る
     子とおもへば哀しも
夢二の彦乃への恋歌であろう。

夢二郷土美術館のチケット。立田姫だ。

前回訪れた時に求めた図録が出てきた。
99年10月10日という書きこみがある。1999年、16年前に訪れたんだ。
館内、撮影禁止なので、いくつかの作品、この図録を複写する。
表紙は、立田姫。

立田姫、右側、画賛の詩は杜甫の「歳晏行」を引用したもの、と図録の解説にある。
     去年米貴歡常食
     今年米賤太傷農       寄立田姫 杜詩 夢生

     時雨るヽや
     眉引きなほす
     大徳寺

左、浅草の女。右、湖畔舞妓図。

左、秋の扇。右、帰らぬ娘たち。

トランプをする娘。
夢二の世界である。

竹久夢二、器用な男であった。
日本画、油彩、水彩、素描、版画、イラスト、デザイン、何でもござれである。詩も創れば文芸も。マルチアーティストと言っていいであろう。
これは木版の小春・治兵衛。

著作本。

装幀本。

千代紙や半襟の類もデザインした。

セノオ楽譜の表紙絵は300を超える、という。

左、宵待草。右、椿姫。
夢二の世界、大正ロマン、大正浪漫。
以前、鈴木清順の「大正浪漫3部作」を記したことがある。「ツィゴイネルワイゼン」、「陽炎座」、そして「夢二」のことを。



おまけに、鈴木清順の「夢二」の映像を1枚載せる。
以前にも載せたことがあるが、四半世紀前の映像である。

竹下夢二に沢田研二、彦乃に宮崎萬純、お葉に広田玲央名、殺されているんだが何故か夢二とボートに乗っている巴代に毬谷友子という布陣。
さらに、坂東玉三郎、大楠道代、原田芳雄が脇を固める。
清順美学が炸裂した大正浪漫、夢二の世界。