吉備の国アート巡り(10) 壁と窓。

倉敷にはさまざまな壁がある。さまざまな窓もある。いずれも美しい。

なまこ壁。

板壁。

左は、大原家住宅の裏側。幾つかの蔵が続く。

漆喰仕上げの塗屋造になまこ壁。

こういうところも。

焼杉も風情がある。

こうなりゃ、なまこ壁というよりモンドリアン。

なまこ壁に倉敷窓。

なまこ壁に囲まれた正面の扉、耐火性を高めた塗屋造。

塗屋造に本瓦、倉敷格子に倉敷窓。

この屋根と壁、品がある。

このような壁と窓も。
下の焼杉に寄り添うと・・・

炭化した焼杉の壁、限りなく美しい。

平瓦と丸瓦を交互に用いてふいた屋根、その上にはなまこ壁、そして倉敷窓。
幕府直轄の天領・倉敷を表わす。


夕刻、大原美術館の前でもあり、大原家住宅とその迎賓館の前でもある、倉敷川にかかる小さな石橋・今橋に戻ってきた時のこと。大きなカメラを横に置き、今橋の欄干に座っている男がいた。
その男が声をかけてきた。「どこから来たの?」、と。「千葉県から」、と答える。と、「倉敷の人口はどれくらいと思う?」、と訊いてくる。「そんなこと知らないが、30万人ぐらいかな」、と答える。
と、その男、「30万ならまあ許容できる範囲かな。中には10万人とか20万人と言うやつがいるんだ」、と言う。「千葉で言えば船橋よりは少ないが、松戸と同じぐらいなんだ、48万人いるんですよ」、と言う。
大原家のこととか何だとか、なんだかやけに物知りの男である。で、「あなたは何をしているのか?」、と訊いた。「遊んでいるんです」、という答え。夕刻とはいえ、平日に橋の欄干に座っているのだから、まあまともな勤め人でないことだけはたしかである。遊び人と言えるかどうかは難しいが。
その男、「夜、また来たらいいですよ。光が入りきれいですよ」、と言う。
しかし、夜は行かなかった。
ホテルに戻り、一休みした後、駅近くの居酒屋で夕飯を食った。その後は、コンビニで地元紙・「山陽新聞」の夕刊と寝酒にウイスキーのポケット瓶を買い、ホテルへ戻った。
後で知ったが、倉敷川畔のライトアップ、なかなか趣きがある。が、私にとっては、近場の居酒屋で少し飲んで飯を食い、地元紙の夕刊と寝酒を買ってホテルへ戻る、ということの方が優先順位は高い。