デヴィッド・ボウイ・イズ。

1947年生まれのデヴィッド・ボウイ、今年、デビュー50年となるそうだ。一昨年2013年、ロンドンのV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)で「David Bowie is」という大回顧展が催された。V&Aの長い歴史でも最もチケット入手が難しい展覧会となった、という。

本作、V&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)での展覧会のクロージングナイトの模様を撮ったドキュメンタリー。監督はハミッシュ・ハミルトン。
それにしても、美術館や博物館での展覧会、オープニングが行われることは日本でもままある。しかし、クロージングが行われるということは私は知らない。さすがV&Aと言おうか、さすがデヴィッド・ボウイと言おうか。

「David Bowie is」展を企画したV&Aの二人のキュレーターが、クロージングを仕切る。
ボウイのステージ衣装、創作活動のメモ、ストーリーボード、ダイアリー、・・・・・、さまざまな資料でデヴィッド・ボウイの創作活動に迫る。デヴィッド・ボウイと関わりのあるさまざまな人も登場する。

中で存在感があるのがKansai Yamamoto(山本寛斎)である。
ある時、デヴィッド・ボウイから電話がかかってきたそうだ。「今すぐニューヨークへ来てはもらえないだろうか」、と。それ以来の付き合いだそうだ。
デヴィッド・ボウイのステージ衣装、60着も展示されている。しかし、その中で最も異彩を放つのは山本寛斎のブラック・ジャンプスーツ。エナメル素材を使った土偶を思わせる衣装である。
寛斎、今ひとつ好きになれないのだが、これは凄い。このジャンプスーツは、という代物。

音楽の世界には疎い私、デヴィッド・ボウイのものもほとんど知らない。これらの時代のものはもちろん。エルビス世代なんだ。ビートルズより以前の。
You Tubeで幾つかの曲を聴いた。
近場の作品らしい「Sue(Or in a Season Of Crime)」、「訴える(或いは悪事の季節に)」という曲に引きこまれた。

終わりの方で、「Devid Bowie is」展に関し、P.ロバートソンなる作家に依頼した作品が現れた。化学の元素周期表のようなものが現れた。
デヴィッド・ボウイの歴史を総括する作品。元素記号をボウイに関係する人物の名前に見立てた。
稀ガスを表す列には、A.ウォーホル、C.G.ユング、そしてW.バロウズ。
ボウイが影響を受けた人物には、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、エルヴィス・プレスリー。影響を与えた人には、レディー・ガガ、マドンナ。その他関わりのある人物は・・・
競演もしているミック・ジャガーは当然として、パブロ・ピカソ、ルイス・ブニュエル、ジャン・ミッシェル・バスキア、さらにはナム・ジュン・パイクまでも。
デヴィッド・ボウイ、オールラウンダーなんだな。

「Devid Bowie is」展、イギリスの後カナダ、ブラジル、アメリカ、フランス、・・・、と世界を巡回している。しかし、日本への巡回は見送られているようだ。さまざまな問題が絡み合っているのであろう。
映画の公開も限られている。
渋谷のシアター・イメージフォーラムでは12月4日まで。その後12月5日から、大阪のテアトル梅田で。日本での公開、それのみ。
ロンドンまでは二の足を踏んだが、東京や大阪ならば、というお方ははぜひどうぞ。