納めの場所、楽日も美しくなかった。

一年納めの九州場所、今日、その千秋楽。
今場所さほど見てはいないが、千秋楽の今日の土俵も相撲の美からはほど遠いものであった感がしてならない。

カド番大関の豪栄道、今日まで7勝7敗、相手は勝ち越している栃煌山。攻めこまれるが、首投げで勝つ。栃煌山、こうなりゃ首投げがくるな、ということは先刻承知のこと。しかし、それを食う。共に8勝7敗となる。豪栄道、これでカド番脱出である。
豪栄道と栃煌山、若いころからのライバルである。が、同期であることが頭をよぎる。
美しくないな、という思いも一瞬よぎる。

このところ稀勢の里には連勝中の日馬富士、ここまで一ケタの星の稀勢に敗れる。
白鵬がずっこけている状態なんだから、ここまでくればすっきり勝たなきゃ美しくない。白鵬にも目が出てきた。

土俵下、出を待つ白鵬。瞑目し、なに思う。
しかし、その白鵬も鶴竜に両差しを許し敗れる。で、結局優勝は日馬富士。
何度も記すが、白鵬の力確実に落ちている。雑になってきた。その所作も含め、以前の白鵬が目指した双葉山の美しい相撲から離れていきつつある。

北の湖の急逝により、急遽理事長代行についた八角から賜杯を受ける日馬富士。
なお、次の正式な理事長には誰がつくか、誰が理事長として相応しいか、との問題がある。私は、今日理事長代行を務めた八角がいいと考える。
日本相撲協会の親方衆、微妙なパワーバランスがある。しかし、相応しいのは八角ではないか。八角、北の湖と同じく愚直で真面目な硬骨漢という印象がある。故に、相応しい。

優勝決定戦のことも織り込んでいたのであろう、打ち出しの後も時間が残った。中継のNHK藤井アナウンサーと解説の正面・北の富士、向正面・舞の海の3者でざっくばらんな話が少しの間続いた。これが面白かった。
メーンのご隠居さん役の北の富士、だんだん味が出てきた。元来、美男子で遊び人であった北の富士、昔のやや崩れた顔貌の玉の海さんや出羽錦さんとは趣きが異なる。が、北の富士、人気のあったこのお二方の域に近づきつつある。
北の富士、このところ言及することが少なくなっていた稀勢の里のことにも話が及んだ。「今日のような相撲を見ると稀勢の里にはなんとか上を目指してもらいたい」、と。北の富士の稀勢の里待望論は聞き飽きるほど聞いたが、稀勢の里が横綱になるようなことがあれば、大相撲の世界、今よりもっとひどい状況になっているに違いないよ。私も稀勢の里は好きなんだが、残念ながら稀勢のピークは過ぎたよ。
なお、上の写真は、今日の取組後、床山に髪を結ってもらっている稀勢の里。

一昨日急逝した北の湖の映像も流れた。
これはいつであろうか、優勝賜杯を受ける北の湖。渡しているのは、元横綱初代若乃花の二子山のようだ。

この北の湖部屋の幟も、今日で見納め。