先輩方、お元気。

早稲田の美研(美術研究会)OB、ほぼ10年毎ぐらいの区切りで何らかの集まりを持っている模様であるが、展覧会に関して最もアグレッシヴなグループは、最も年長の先輩方である。
中心年代は80歳前後、90に近い方もおられる模様。お元気である。

先輩方のグループ、年に一度展覧会を催されている。もう17回となる。

山宣の作品が向こうに見えた。
山宣、私たちの年代の仲間であるが、先輩たちのグループへも出展している。山宣、70代前半であるが、先輩たちのグループでは最年少である。

山本宣史作≪サンマルタン運河≫。
山宣得意の膠彩画。
サンマルタン運河、パリの北駅や東駅に近い趣きのあるところである。山の手や下町、という区分けとは少し違う。パリの市中なんだが、パリの田舎という感じがするんだ。誰も言う人はいないが、私は「裏パリ」、と呼んでいる。
サンマルタン運河ばかりじゃなく、海外風景を描いたものが何点かあった。見知ったところが幾つかある。

猪狩達夫さんの水墨画。

猪狩達夫作≪慶州佛国寺(世界遺産)≫。
10数年前であろうか、もっと前であろうか、釜山からバスで慶州へ行った。
韓国語の単語を6つだけ覚えて。
釜山はプサン、慶州はキョンジュ、佛国寺はプルグックサ、佛国寺に繋がる石窟佛はソックラム、それに、アンニョンハセヨとカムサムニダ、この6語。
何とかなるもんだ、世界中たいていは。何故なのか、皆さん、親切だから。
キョンジュの人も親切な人たちであった。宿のオバさんも、食堂のオネエさんも、バスの中の女子高生も。
しかし、佛国寺はイマイチであった。韓国にしろ中国にしろ、お寺は日本に限る。私には。

猪狩達夫作≪安東河回村(世界遺産)−Ⅰ≫。
会場に猪狩達夫さんがいた。説明をしてくれる。
私は行っていないが、安東河回村、慶州の少し北にあるそうだ。5〜600年続く村だ、と言う。村人の7、8割の人の名字は、「柳さん」、と言うとも。「屋根は?」、と猪狩さんに訊いた。「瓦と藁です」、と猪狩さん。
韓国の田舎の村って、とても趣きがある。

猪狩達夫作≪安東河回村(世界遺産)ーⅡ≫。
猪狩さん、こう言う。
「これらの作品は、墨と金茶で描いたものです」、と。「その2色だけでですか?」、と訊いた。「そうです。実は、高山辰雄が墨と金茶のみを使って描いているんです。それに倣いました」、と。
村の様子といい、猪狩さんの水墨といい、趣き深い。

スペイン、グラナダのここもあった。
真喜志卓作≪アルハンブラ宮殿アラヤネスの中庭≫。F4の水彩画。
パティオの水面、水鏡。

真喜志卓作≪アルハンブラ宮殿夜景≫。F4、水彩画。
アルハンブラ宮殿を眺める丘に、アルバイシンがある。アルバイシン、元はロマの人たちが住んでいた洞窟が多くある。その洞窟、今はフラメンコのライブハウスとなっている。その洞窟から出、アルハンブラの方を眺めると、こういう光景が目に入る。
先輩方のグループ展で、暫しの思い出旅行をした。