健康藝術。

それにしても大時代な。
「健康藝術」だなんてタイトル、時代を半世紀ばかり巻き戻したようである。ハイレッドセンターの「首都圏清掃整理促進運動」を思わせる。前回のオリンピックの前年だから、51年前となる。

秋山祐徳太子、犬飼三千子、上條陽子、宮本和雄の4人展、ギャラリー・アーチストスペース11周年記念展である。

ギャラリー内へ入る。
左の方に犬飼三千子の作品が見える。座っている男は、秋山祐徳太子のようだ。「写真を撮らせてもらってもいいでしょうか?」、と訊いた。「どうぞ、どうぞ」、との秋山祐徳太子の返事。

犬飼三千子の作品。
右の作品は見たことがある。真ん中の作品は初めてだ。

犬飼三千子作≪炎が生まれる≫。
煩悩を焼きつくす不動明王の護摩壇だ。
ここ数年の犬飼の作品では、最もいい。
迫ってくるものがある。色調も明快だ。

秋山祐徳太子の作品。
たまたまであるが、画廊に古い仲間の山本宣史・山宣がいた。山宣、あちこちの画廊を飛び回っている模様。山宣、「こちらが秋山祐徳太子さん」、と紹介してくれる。「いや、お顔は存じあげております」、と応じる。そりゃそうだ。都知事選に出た人だもの。
秋山祐徳太子なる人物、赤尾敏、太田竜、中松義郎、東郷健、内田裕也などと共に、歴代都知事選候補の中で今に名の残るおひとりであるもの。
両側の作品は、金属素材の作品。
「金属に何らかの腐食をさせているのでしょうか?」、と訊いた。「いや、アクリルで色をつけているだけです」、と秋山さん。
真ん中の丸い作品が面白い。

秋山祐徳太子作≪うさぎ紳士≫。
洒落ている。ノホホンとした佇まいの秋山さんに、そのイメージ、重なる。赤丸がついていた。

こちらの壁面も面白い。上條陽子の作品。
色調は異なるが、マティスを思わせる。
マティスよりも思索の度合いは、深い。

上條陽子作≪ドローイング5≫。
群舞のよう。

手前の壁面に架かるひび割れたガラスのような緑の画面、見たことがある。
1年少し前、昨年夏、「Four Ball + 1 展」にあった。宮本和雄の作品だ。暑い日で、ビールを飲み始めた宮本さん、居合わせた私にもお裾分けをしてくれた。

宮本さん、今回はこういう作品も出展している。
左から、≪ドローイングストーン≫、≪シェルガーデン≫、≪midnight city−2≫。

宮本和雄作≪シェルガーデン≫。
目を凝らすと、中央上にホタテのフォルムが。
「なんて大時代なタイトルであることよ」、と思っていた。しかし、犬飼三千子、秋山祐徳太子、上條陽子、宮本和雄の4人展、そのグレード、とても高いことに気づく。
4人の皆さん、永年、来る年も来る年も、不断に、作品を世に発信し問うてきたからであるに違いない。
素晴らしい展覧会であった。