天才スピヴェット。

10歳の少年T.S.スピヴェット、アメリカ、モンタナの牧場に住んでいる。
100年遅れのカウボーイといったお父ちゃんに溺愛されていた双子の弟が、銃の暴発で死ぬ。自分が死ねばよかった、と思うスピヴェット。お母ちゃんは昆虫博士。お姉ちゃんはアイドルに憧れている。みな変わり者と言えば変わり者。
ある時、ワシントンDCのスミソニアン博物館から電話がかかってくる。最も優れた発明に贈られる科学賞を受賞したとの知らせ。実はスピヴェット、天才なんだ。

10歳の天才少年スピヴェットに扮した少年は、2002年生まれのカイル・キャトレット。撮影時は10歳であるが、この少年もある種の天才児。ロシア語、中国語を含む6か国語に堪能、とのこと。さらに加えて7才以下の総合格闘技の世界チャンプでもあった、という。こういう子もいるんだ。

『天才スピヴェット』、監督は、ジャン=ピエール・ジュネ。

スピヴェット、モンタナの田舎に住んでいる。

父親は、100年遅れのカウボーイだ。

双子の弟は、お父ちゃんお気に入りの少年であったが、死んでしまった。

スミソニアン博物館からの電話。

初めはスミソニアンへの招待を断ったスピヴェットであるが、

家出を決行する。

モンタナからワイオミングを抜け、ネブラスカからシカゴへ。

さらにワシントンDCまで、ロードムービーでもある。

ワシントンDCでは、俗物どもが待っている。
天才少年の科学賞受賞を自らのキャリアに加えたいスミソニアン博物館の女性次長、視聴率をあげたいテレビのトークショーの司会者などが。
そこに変わり者のお母ちゃんとお父ちゃんが現われる。浮世離れした昆虫博士と100年遅れのカウボーイの二人が。
天才ではあるが、まだ10歳である息子を、俗物どもの手から護る。お母ちゃんもお父ちゃんもカッコいい。

丁度こういう、パステルで描いたようなハートウォーミングな物語である。


夕刻、銀座に用があり、新宿から丸ノ内線に乗っていた。
斜め前の方に、電動車椅子の人がいた。その人は、国会議事堂前で降りた。電動の車椅子の後ろに、「NO WAR」と書かれた大きなものが取りつけられているのが見えた。
車椅子の人も、国会前へ行っている模様、と知った。
銀座で地下鉄を降り有楽町駅の方へ歩いたら、交通会館の前に人だかりがしている。
若い男からビラをもらった。見ると、民主党の号外。
<安保法案 強行採決抗議 国民の声を踏みにじる暴挙>、とある。
ずんぐりとした男が、車の上でマイクを握っている。
上着を脱ぎ、シャツの腕まくりをした男。

より近づく。
と、その男、枝野幸男のようだ。ビラ配りの若い男に、「あれは枝野か?」と訊く。若い男「そうです。枝野さんです」、と。枝野幸男にしては、少し声のトーンが高い。そう言うと、ビラ配りの若い男、「こういう演説の時には、やや高い声になります」、という。
枝野の両横には、福山哲郎と辻本清美が硬い顔をして立っている。
安保法案、今日、自公の与党、衆院特別委員会で採決を強行した。
で、民主党、枝野、福山、辻本組みばかりじゃなく、細野豪志、蓮舫といった美男美女組み、また岡田克也、長妻明といったおじさん組み、と幾つかの街宣セットを組んでいるのではないか。
有楽町ばかりじゃなく、新宿、渋谷、池袋、上野と。
それは必要だな。
四六時中出歩いている私、たまたま枝野幸男の街宣活動、演説にいきあったが、それはごく少数。しかし、恐らく、メディアが報じる。だから、多くの人が日本の現状を知ることとなる。
安保法案、衆院特別委員会で可決された。明日には、衆院本会議で可決される。
安倍晋三の悲願である。
しかし、これは解釈改憲である。
安倍晋三、堂々と憲法9条に絞って、解散総選挙に打って出るべきであろう。憲法改正を問う選挙に。
どだい、解釈改憲なんて、ちゃんちゃらおかしい。
6月4日の衆院憲法審査会を思い出せ。
3人の憲法学者が、揃って安保法制を「違憲」と論じた。与党である自公両党が推薦した参考人・早稲田教授の長谷部恭男も含め。
自民党議員は唖然としたであろう。船田元のミスらしいが。
それはそれとし、古くから「三博士」とか「三学者」、というものは権威あるものと決まっている。その言葉は、いわば「託宣」と言っていい。
安倍晋三、採決強行でそれを覆すなんてこと、あり得ない。