澤穂希のW杯、終る。

ライバル・アメリカを破りW杯連覇だなんて言っていたが、とんでもない。アメリカとは30戦して、ただの一度しか勝っていない。ライバルなんておこがましいよ。
アメリカとW杯決勝で連続し相まみえることができるなんて、それこそ僥倖、と思わなきゃ。
サッカー女子W杯カナダ大会決勝、スコアは2−5で日本は完敗。しかし、興味深い場面は多くあった。
特に澤。

予選第一戦で足を骨折した安藤梢、控えのゴールキーパー・山根恵里奈に背負われてピッチへ。
なでしこジャパン、23人が揃う。

いよいよW杯カナダ大会決勝、キャプテン・宮間、ゴールキーパー・海堀の姿が見える。

日本の先発メンバー。
決勝リーグに入ってからは不動の布陣。

アメリカの先発メンバー。
フォワード・モーガン、トップ下にロイド。恐い二人である。

試合開始3分。アメリカのコーナーキック。グラウンダーのボールを入れられる。
予想外、日本、虚を突かれる。
走りこんだロイドにゴールを決められる。

その2分後、セットプレーからまたもロイドに決められる。

前半16分で0−4。アッと言う間のアメリカの速攻。
ロイドは、W杯決勝戦初のハットトリック。ナンとー。

前半27分、川澄のクロスを大儀見がシュート。
左端に大儀見の靴の先が見える。

大儀見のシュート、ゴールキーパー・ソロの指先をかすめ、ゴールネットに突きささる。

1−4となるが、まだ3点のビハインド。

日本監督・佐々木、たまらず澤を投入する。
日本絶対のセンターバック・岩清水に替えて。
この局面打開には、澤穂希の名前が必要だと判断したようだ。澤の名だ。

ベンチに戻った岩清水、泣き崩れる。
クリアミスもあった。ロイドへの詰めも甘かった。悔やんでも悔やみきれなかったのであろう。岩清水の涙は止まらない。

1−4で前半を折り返す。
アメリカのサポーターは、こう。

まもなく後半、ハーフタイムの澤。

アメリカのレジェンド・ワンバックもスタンバイ。

後半へ向け、円陣を組むなでしこジャパン。
緑色のユニフォームのゴールキーパー・海堀から時計回りに、宇津木、鮫島、キャプテン・宮間、菅澤、澤、大儀見、坂口、大野、有吉、熊谷のイレブン。

後半7分、宮間のフリーキックに反応、アメリカの長身選手とせった澤、相手のオウンゴールを誘い日本2点目を挙げる。
しかし、その直後、アメリカもゴールネットを揺らす。これで2−5。
アメリカのサポーターこの表情。

後半33分、アメリカ、満を持してワンバックを投入する。

日米のレジェンド、澤とワンバック、激しく競り合う。
澤、ワンバックへスライディングタックルを仕掛けるも、イエローカードを貰う。

試合終了のホイッスルが吹かれる。
佐々木監督とキャプテン・宮間。
なでしこジャパン、準優勝。

ゲームが終わった後すぐ、澤とワンバック、日米のレジェンド二人、固く抱き合う。
千両役者の抱擁だ。
澤36歳、ワンバック35歳。共にこの大会が、最後のW杯と決めている。
澤とワンバックのこのようなシーンを見ると、涙がジーンと溢れ出てくる。

初戦で骨折し、控えGKの山根に背負われベンチに入った安藤と澤。

大儀見、5失点を許し、涙がとまらないGK・海堀を抱く。

自らのミスが大量失点に繋がった岩清水の涙もとまらない。

澤、岩清水を抱く。

安藤、入場時と同じように、長身の控えGK・山根に背負われピッチを後にする。

澤穂希、日米両軍すべての選手とハグを交わしていた。
日本のレジェンド・澤穂希、世界の澤。15歳で日本代表となり、それ以来22年間日本の女子サッカーを引っぱってきた澤のW杯は終わった。
澤穂希、日本国民に夢と希望を、力を与えてくれた。


W杯の前後半のハーフタイム、NHKではこういうニュースが流れた。

財政危機にあるギリシャでの国民投票、何と、EUの改革案を拒否する結果となった。

賛否拮抗しているとの事前予測とは大きく異なり、反対票が6割を越えた。
ギリシャ国民は、これ以上の緊縮策には耐えられないそうだ。そうではあろうとは思うがねー。
しかし、「これ以上の辛抱をしますかどうですか?」、なんて訊かれたら、多くの国民は「もう辛抱したくない」、と答えるよ。
では、どうするかなんてことは考えずに。

勝利宣言をした首相・チプラスは、こういうことを言っている。
借金をした方が居直るということ、ないことはない。ままあり得る。
しかし、ギリシャ首相・チプラス、国民をミスリードしているよ。お前の言うこと、ポピュリズムだよ。口当たりのいい言葉を弄し、「尊厳」なんていう霞み漂うイメージを醸し、ギリシャ国民を煽っている。
チプラス、メルケルを甘く見るな。ヨーロッパの女帝・メルケル、場合によってはギリシャ如きは切り捨てるってこともあり得るよ。
チプラス、身の程をわきまえろ。