リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン。

アメリカは移民の国である。
100年以上前ニューヨークへ移住してきたユダヤ人は、マンハッタンの片隅に足場を築いていたが、それ以降ニューヨークへ渡ってきた人たちは、マンハッタン以外の地に足場を置く人が多くなる。ブルックリン、ブロンクス、クイーンズなどに。
中でも、クイーンズ地区は移民割合が高い。東ヨーロッパからの移民、アフリカ系、ユダヤ人、ヒスパニック、アジア系、さまざまな人種が入り混じっている。
不法移民も多い。

1980年代のニューヨーク、クイーンズ地区、中国から多くの不法移民が渡ってくる。アメリカン・ドリームを求めて。
10歳のサニー(ジャスティン・チョン)もそう。サニー、クイーンズのチャイニーズ・マフィアにリクルートされる。殺しのルールを教えこまれる。ニューヨークで生きていくため。
サニー、クイーンズのチャイニーズ・マフィア「グリーン・ドラゴン(青龍)」の中で頭角を現していく。
『リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン』、脚本・監督:アンドリュー・ラウ、製作総指揮:マーティン・スコセッシ。

新宿武蔵野館、時折り面白いディスプレイで魅せてくれる。
奥の方に、案外大きなこれがあった。

JFKはクイーンズにある。しかし、ニューヨークへ行く多くの人は、JFKで飛行機を降りるとタクシーでイーストリバーを越えてマンハッタンへ向かう。クイーンズのことは、よく知らない。
イーストリバーを通して見るクイーンズの街並み、どこか侘びしげ。

「アメリカン・ドリームは、タダじゃない」。
甘くないんだ、アメリカン・ドリーム。

で、不法入国の中国の少年たち、「ボクたちは、自由の女神に導かれて銃を持った」、となる。

対抗組織もある。ホワイト・タイガー(白虎)である。
殺るか、殺られるか。

殺人、レイプ、拷問、あらゆる”ここまでも”ということが現われる。マフィアの世界では。
80年代、時の大統領はレーガン、レーガノミクスの時代である。

アメリカという国、今でも、人種差別の問題は避けては通れない。
人種差別、黒人ばかりではない。アジア系への差別も厳然としてある。
クイーンズのチャイニーズ・マフィア「グリーン・ドラゴン」でも、”白人は殺すな”というルールが決められていた。白人を殺すと、警察が動き、FBIまでが動き出す恐れがあった故である。
しかし、白人を撃ち殺す事態が発生する。アジア系、差別の対象なのに。
クイーンズのチャイニーズ・マフィア、こういうこともしていたんだ。レーガノミクスの時代に。