新宿スワン。

今年2月に発表された第88回キネマ旬報ベスト10と個人賞、主演女優賞は『0.5ミリ』と『百円の恋』の安藤サクラであったが、主演男優賞は『そこのみにて光輝く』の綾野剛であった。
また、今秋公開予定の最新作で綾野剛を使っている堤幸彦は、「10年にひとりしかいない俳優だと思います」、と語っている(「キネ旬5月下旬号」)。
綾野剛、それほどの役者なのか、常々疑いの目で見ていた。そうなのかなー、と。
『新宿スワン』の綾野剛、『そこのみにて光輝く』の主人公とは真逆の若者を演じている。

綾野剛が扮する19歳の白鳥龍彦、一文なしで新宿、歌舞伎町を彷徨う。チンピラに絡まれボコボコにされる。それを救い、飯まで食わせてくれたのは真虎。恐らく今、日本の男優の中で一番のモテモテ男ではないか、と思われる伊勢谷友介が扮する。
真虎、歌舞伎町のスカウト会社・バーストの幹部なんだ。どこかミステリアスな影も持つ真虎、白鳥龍彦をスカウトマンの世界へ引き入れる。歌舞伎町のスカウト・タツヒコの誕生だ。
歌舞伎町を歩く女の子をつかまえては、良い仕事があるよ、と声をかける。キャバクラ、風俗、さまざまな形態の夜の仕事へ送りこむ。
ライバルのスカウト会社も現れる。ハーレムだ。縄張り争いも起きる。当然だ。
まあ、どろどろとした世界であるが、それでも一応は表の世界である。
しかし、そのうち薬、覚せい剤がどうこう、ということも出てくる。薬とくれば、これはハッキリ裏の世界。”ケツ持ち”のことにも話は及ぶ。こうなりゃヤクザの世界となる。
ドンパチも起こる。何人もが死ぬ。
『新宿スワン』、原作は和久井健のコミックだそうだ。大ヒット作だ、という。そう言えば、昨日の『海街diary』も原作は人気コミック。マンガ世代ではない私、いずれも知らなかった。

『新宿スワン』、脚本:鈴木あさむ・水島力也。監督:園子温。

キャストも豪勢。
綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、そして伊勢谷友介。

<今が命の賭けどきなんだよ!!>って、歌舞伎町で生きる若い連中は言う。みんな底辺からのし上がるため、新宿・歌舞伎町にやってきた若い連中。
ナンだカンだあるが、歌舞伎町のスカウトマンのその日常、厳しいよ。哀しくもある。いつ殺されるかもしれないし。
歌舞伎町のスカウトマンは、やはりやや異常だな。
『海街diary』の4姉妹や、『あん』の女生徒や、『駆込み女と駆出し男』の医者見習い、戯作本作者見習いの男に比べ。


今日、日韓国交回復50周年の日である。
昨日からの日韓外相会談、そこそこの実りをもたらした。
日韓での国交回復50周年の記念行事に、安倍晋三、パク・クネの両首脳が姿を見せた。冷え切った両国関係に幾ばくかの光を灯した、と言えよう。