妻への家路(続き)。

昨日のブログ、尻切れとんぼになった。
天安門に、今でも毛沢東の肖像画が掲げられているのは「不思議だなー」、と記した。文化大革命の総括がなされていない故だ、とも記した。
実は、そこまで書いて、米議会での安倍晋三の演説中継を見ていた。が、途中で眠ってしまった。
安倍晋三の演説内容は、今日のメディアで確認した。ほぼ想定内。先日のジャカルタでの演説に、やや色をつけている。「深い反省」を「痛切な反省」に、と。アメリカの空気に配慮している。しかし、先の大戦での”侵略”の謝罪には触れない。
日本、アジアの諸国を侵略したのは事実である。他国を侵略するということ、一度謝ればすむ、ということではなかろう。他国を侵すということは、未来永劫謝るべきことなのだ。安倍晋三、そのことが解かっていない。
中韓の反応ばかりじゃなく、アメリカのクオリティー・ペーパー、なかんずくワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズには厳しく評されるであろう。
それはそうと、先を進む。
昨日の私、チャン・イーモウの最新作『妻への家路』のことを書こうと思っていた。毛沢東が主導した文化大革命により人生を狂わされた人々の物語を。
しかし、その影も形もないうちに、尻切れとんぼになってしまった。
続ける。

文化大革命以前にも中国では。反右派闘争があった。
それ以来、夫婦が20年ぶりに再会する。しかし、その時には妻の記憶から夫のことは消えていた。心因性の記憶障害である。その間、夫の逃亡事件もある。

夫の記憶をなくした妻は、夫の帰りを待ち続ける。
夫が帰ってきているのに、その事実が解からない。
夫を別人だ、として部屋から追い出す。悲しい。

すぐ近くに部屋を与えるられた夫も辛い。
妻が元通りに戻ることを待ち続ける。

『妻への家路』、チャン・イーモウの作品だ。

2人の間には、女の子がひとりいる。
バレエ学校の生徒である。「紅色娘子軍」の主役を狙っている。が、父親が反党分子では、いかに技量は優れていても叶わない。
それにしてもバレエ「紅色娘子軍」、その踊り手、体操競技の選手のよう。その身体の動き、驚くほど素晴らしい。
文化大革命終結の3年前、夫であり父であるルー・イェンシーが抑留地から脱走、妻のフォン・ワンイーへ会いにくる。
が、二人が会うその場所を娘のタンタンは密告する。バレエ「紅色娘子軍」の主役を手にしたいが故。これも悲しい。

フォン・ワンイー、夫の名を書いたものを持って駅へ行き、夫を待つ。
しかし、分からない。目の前にいても。
(コン・リー、上手い。しかし、老け顔のコン・リーなど見たくない)。

夫のルー、書きためた多くの手紙を読み聞かせる。
でも、妻へは伝わらない。これも悲しい。

号泣したとか、スピルバーグが泣いたとか、といったこともあるが、確かに悲しい物語である。チャン・イーモウがそれを紡ぐ。
文化大革命に翻弄された物語なんだ。
文化大革命、毛沢東が主導したものである。文化大革命、どれほど多くの人に影響を与えたか。どれほど多くの人の人生を狂わせたか。
その落し前は、まだつけられていない。