グループ表現展。

半月ほど前の京橋、ギャルリーソレイユでのグループ表現展、あちこちのグループに参加している山本宣史が出展している。
その少し前に届いた案内ハガキには、こういう文言が記されていた。<初めての試み、清水の舞台から・・・・・です>、と。ハガキをよく見ると、グループ表現の今年のテーマは「アン・フォルム」とある。
半世紀以上も前に一世を風靡したアンフォルメルだ。非定形、抽象だ。それで山宣・山本宣史、「清水の舞台から・・・」となったんだ。今まで具象画を描いてきた山宣、初めての抽象画、というのだから。

山本宣史の出展作3点。

オッ、なかなかいいんじゃないかい。山本宣史・山宣のいつもの山の絵や海の絵よりもずっと面白い、と言ったら山宣、気を悪くするだろうが。
アンフォルメルにして、フォルムがある。それが面白い。色調もナンとも言えず、素晴らしい。
ただ、タイトルが、≪Escape from IS 永遠の0、今も尚・・・≫。このタイトルはよくないよ。あまりにも安易にすぎる。

≪Escape from IS together!!≫。
このような心安まる色調に、何故にISなんかを持ってくる。

≪Escape from IS 泳げウィリー君!≫。
山宣、これらの作品を1月末から2月初めにかけて描いたようだ。だから”IS”。しかし、山宣の作品、それとは対極。”IS”には凍りついた血が流れているが、山宣には温かいホワーとした血が流れているんだから。
なお、ウィリー君というのは、山宣が飼っている犬の名だそうである。”泳げ”ってのはどういうことか訊かなかった。
山宣のアンフォルメル3作品、特にウィリー君のこの作品、何十年も前に好きだったザオ・ウー・キーを思わせる。

半月ほど前ギャルリーソレイユへ行った折り、山本宣史・山宣は、関西弁をしゃべる同年代の女性と話していた。
山宣から紹介された。この絵の作者・山口亮子さんを。貴女の作品もブログに載せてもいいですか、と訊いた。いい、という。
山口亮子さんの作品≪混在スル記憶≫。
しかし、どうしても額装されたガラスには前面のものが映りこむ。斜めから撮ったが、やはり映りこんでいる。
山口さんも、普段は具象画を描いているそうである。だが今回はアンフォルメル。
山宣、「この人は新幹線に乗って東京へ来て、グループ展の間ホテルオークラへ泊まっているんだ」、と話す。
ホテルオークラへは何度も行っているが、泊まったことはない私は”そうか”と思う。山口亮子さん、「いや、素泊まりですよ」、と言う。そして、こう続ける。「ホテルオークラはやはりいいですよ。きれいだし」、と。そして、「あと5〜6年かどうか、残りの人生は分かりませんが、孫にお金を残すことを考えるよりは、好きなことをした方が」、と。「そうですよ、そう」、と応える。

山口亮子作≪予兆≫。
厚いマチエールの白い平面と黒い平面で構成されている。しかし、黒い平面であるからこそ前面のものが映りこむ。斜めから撮っても映りこむ。残念、そして山口さんに申しわけなし。
しかし、白っぽさと黒っぽさが隣りあうこの作品、とても魅力的。