チョムスキーの頭の中とニューヨーカーの顔。


MOT、「ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展の会場入口。

こういう挨拶文があった。
ミシェル・ゴンドリー、1963年生まれ。「日本の皆さま、よろしく」ってことなんだろう。

紙にインク。
No.1〜No.31まで、31点のドローイング。

こういうもの。
言ってみれば世界最高水準の知性、ノーム・チョムスキーとのコラボ。

みんな頭の中。
恐らく、いや、当然チョムスキーの。

”背の高い男は幸せ?”。ダダーン。ダダーン。

”我々の認識とは、資質とは”。
チョムスキーの頭の中なんだな、きっと。

ウワー、顔がいっぱい。

こういうものである。
似顔絵の値段って、世界中どこでもだいたいこのようなもの。日本円で2000円程度である。今は円が安くなっているが、まあ20ドル。
それにしても、趣味と実益が一致する、ということが稀にはあるが、このケースは、アートと実益が一致したレアケース。

ミシェル・ゴンドリー、2週間で1600件もの注文がきたので、そこで受注をストップした、と言っている。
注文殺到も当たり前である。
大江健三郎のお友達であるノーム・チョムスキーやローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニーといったスーパースターとコラボしている男が、たった20ドルで似顔絵を描いてくれるのだから。

似顔絵を見ているうちに、アレッてことに気がついた。
似顔絵には、ミシェル・ゴンドリーのサインが入っている。その横あたりに数字が記されている。通常は、それを描いた年が記される。
しかし、1928とか、1902とか、中には1610とか、2032とか、2153なんて数字まである。どういうことだ。
はじめは、受注番号なのかな、と思った。しかし、そうじゃない。受注は1600件で打ち切っているんだから。
恐らくミシェル・ゴンドリー、遊んでいるんだ。何世紀も前の年号を記したり、この後何十年か後の年号を記している、ということは。でも、表現者、やりたいようにやればいい。それでこそのアート。

ニューヨーカーばかりではないが、1000人の顔図録。