八海山とウクレレ。

お通夜に行った。
知ったのは40年近く前。ここ20年近くは年に一度だけ会っていた。共に友人であった友だちの墓参りの時だけに。
口数の多い男ではなかったが、カミさんは真逆の明るい人、絶妙のコンビであった。夫婦でデザイン事務所を営んでいた。共に他人には好かれた。とてもいい人。私も大好きだった。
共通の友人の墓参りの時には、いつも大きなカメラを持ってきていた。3〜4年前だったか、いつもの墓参りの折り、それまでの墓参りやその後の居酒屋での模様を写したものをCDに焼きつけたものをもらったことがある。
昨年の墓参りには見えなかった。その頃から癌と闘っていたようである。今日、カミさんにその男の歳を訊くと66歳。若い。もっと酒を飲ませてやりたかった。
祭壇の横に、ウイスキーのボトルと八海山の四合瓶があった。「共に貰ったもの、お正月には飲もうね、と言っていたのだが、もう飲むことができなかった」、とカミさんは話す。
とても仲のいい夫婦であった。子供がいなかったことが、夫婦仲の好さを弥増した。
祭壇のその横にはウクレレが飾られていた。その上には、里芋の写真に「SATOIMO」と書かれた紙片が乗っていた。持っている4本のウクレレの中でお気に入りのもの、とのことであった。
40年近く前のことを思いだした。
青山あたりのライブハウスを借りきってのパーティーへ招かれた。主催はこの二人。数日前死に、今日お通夜の彼、バンドを結成していた。普段は寡黙な男であったが、ウワーと盛りあがってたんだ、その時は。
「SATOIMO」のウクレレを掻きならし。