無念。

膠着状態が続いていると思っていたが、実際には、折衝どころか接触もできない状況であったのかもしれない。日本はもちろん、ヨルダンと「イスラム国」も。
後藤健二さんが殺害された。

夜7時のNHKニュース。

日本時間今日未明、後藤健二さんを殺害する動画が、You Tubeに投稿された、という。
このような声明文を付けて。
「イスラム国」、後藤さんまで殺した。何故に。

夕刻には、このようなものも。

今朝、動画確認後の安倍晋三、こう語る。

テロには屈しない、とも。

バラク・オバマの反応も速かった。
オバマ、「イスラム国」を壊滅させる、と語る。
しかし、「イスラム国」の壊滅、そうたやすいことではない。
先般引用した『文藝春秋オピニオン 2015年の論点100』で、山内昌之こう記す。
<・・・・・、IS(「イスラム国」)の歴史的意味はサイクス・ピコ秘密協定で画策されたシリアとイラクとの「人工的国境」の線引きを現実に否定した点にある>、と山内昌之は言う。
さらに、こう記す。
<帝国主義の悪しき遺産への挑戦は、汎アラブ主義やアラブ・ナショシャリズムが最高潮に達した時でも決して成功しなかった。・・・・・。ISという小さな集団はシリアとイラクの広大な土地を現実に支配し、両国間の長大な国境線を無視したのである>、と。
さらには、こうも。
<ISがシリアとイラクで予想外の力をつけ、ついに米軍の空爆と中東再関与を余儀なくさせたのは、アラブ世界に政治的真空状態と権力の不均衡をもたらしたオバマ大統領の外交失策の結果に他ならない>、と山内昌之は記す。
オバマひとりに責任を負わせるのは酷であろう、とは思う。2003年、イラクに大量破壊兵器が、と言ってイラクへ攻めこんだJ.W.ブッシュの負の遺産を引き継いでいるのだから。
とは言っても、今日の中東情勢、オバマの優柔不断さにある、という論理、説得力がある。
それはそれとし、

東京豊島区のイスラム教の施設では、日本在住のイスラム教の代表者が集まり、後藤さんのために祈りを捧げていた、という。
「イスラム国」は、イスラムの教えに反している、と。

後藤健二さんは、立派なジャーナリストだったようだ。
一部の週刊誌(後藤さんに関し、下品な記事を載せている老舗週刊誌がある)を除き、後藤さんに関する記事、概ね後藤さんの穏やかな人柄を伝えている。
その後藤さんは、死した。
無念である。