宗教か。格差、貧困、差別か。

ここ数日、日本国総理大臣・安倍晋三を含め、さまざまなメディアが、それまで「イスラム国」と言っていた表記を変えている。
ISとか、ISISとか、ISILとかと。多くは、ISILとしている。「イスラミックステート・オブ・イラク&レバント」。
”レバント”とは、トルコからイラク北部、シリア、さらにヨルダン、レバノン、パレスチナをも含む地域を指す言葉である。
しかし、それにしてもイスラミック国である。イラクとレバントのイスラミック国というのだから。
それはそれとし、今日、突然にこういう映像が流れた。
NHK夜のBS1の映像から。

ヨルダン国営テレビの映像。
「イスラミック国」(ISIL)に囚われていたヨルダン軍パイロット、カサースベ中尉が殺害された、という。

アブドラ国王がアメリカを訪問している、その時。
先般の安倍晋三が中東を訪れていた時、人質としていた日本人2人の殺害を警告した時と同じような状況。

アブドラ国王、ケリー国務長官に加え、アメリカ大統領・オバマと緊急に会談する。
アメリカとの絆をより強め、ISIL(「イスラム国」)を壊滅させる、と。
また、ヨルダン、パイロットが殺害されたことを確認した後、時をおかずISIL(「イスラム国」)が釈放を求めていたリシャウィ死刑囚の刑を執行した。
さらに、こういうことも。
ヨルダン軍のパイロットは、1月3日にに殺害されていた、とのことも。

日本人2人の殺害予告が報じられたのは、1月20日であった。
その半月以上も前に、ヨルダンは自国のパイロットが殺されていたことを知っていた、ということになる。日本は知らなかったようである。
どういうことか。
この画面の下には、”フランスでのテロ実行”の呼びかけテロップも。

ISIL(「イスラム国」)、フランスの過激派にこう呼びかける。
警官や兵士ばかりでなく、反「イスラム国」のデモに加わた人たちも殺戮しろ、と。
まさに狂気。
ISIL(「イスラム国」)、その実態は宗教ではない。
彼ら、ムスリム(イスラム教徒)、とは言えない。
このところは行かなくなったが、暫らく前までは時折りイスラムと触れる国へも行っていた。
数多く行ったインドはヒンドゥーの国であるが、十数パーセントのムスリム(イスラム教徒)がいる。インドでの十数パーセント、2億人に近い数である。
エジプト、モロッコ、トルコ、・・・、10年少し前には、J.W.ブッシュがイラク、北朝鮮と共に「悪の枢軸」と言ったイランへも行った。
イランの町々、町中はホメイニ師の写真で溢れていたが、そこに住む人たちはごく普通の人たちであった。若い連中は、アメリカのファッションやポップソングにやけに興味を持っていた。ジイさんやバアさんからは、水たばこをすすめられた。ありがたく吸った。
とても心地よいイスラム世界であった。
しかし、今のISIL(「イスラム国])、そのようなこととはまったく異なる。
ISIL(「イスラム国」)、宗教ではない。政治経済の領域の問題ではないか、と思われる。
格差、貧困の問題が絡まっているんだ。
今盛りのトマ・ピケティの理論、(r)>(g)、資本収益率>経済成長率、という不等式が当てはまる。資本は、常に労働に先んじている、ということだ。トマ・ピケティは、それを資本主義のひずみ、と言っている。
しかし、それは経済ばかりじゃない。
(r)>(g)の不等式、経済分野ばかりじゃなく、宗教分野においても、ということであろう。ぐしゃぐしゃに絡み合う。
その大本は、格差であり、貧困であり、さらに加えて西洋世界における差別であり、と。