笑ってても心で泣いていた。

日中外出していた。
帰宅後、夜のNHKスポーツニュースを見ていると、カズが出てきた。カズ・三浦知良とレジェンド・葛西紀明の対談。
その中で、あの時の話が出てきた。1998年、フランスW杯直前、監督の岡田武史がこう読みあげた。「外れるのは、カズ、三浦知良と・・・・・」、と。
あのカズ、キングカズが、W杯の最終メンバーから外された。日本中が驚いた。カズ自身も驚いただろうが、日本国民もびっくりした。それを決断した岡ちゃん・岡田武史にも日本中驚いた。
NHKの番組でそのことを問われたカズ、こう答える。
「忘れたことはない。しかし、誰のせいなどとは思わない。自分が至らなかったんだ」、と。そして、こうも言う。「笑ってても心では泣いていた」、と。「死ぬまで忘れることはないだろう」、とも。
そうであろう。
誰しも好きなアスリートはいるだろう。
私は、松井秀喜やマー君が好きだし、インテルの長友も好きだし、・・・・・も、ということはあるのだけれど、現在存命のアスリートの中で最も好きなのは、カズなんだ。
カッコいいばかりじゃなく、その生きざま、頑張ってもらいたい、という思いしきりである。「まだ可能性があると思っている。明日、頑張りたい」、ととも語る。
カズ、47歳なんだが。
実は、今日昼はある人を見舞っていた。私よりは年上、長年ある大企業の海外駐在員を務め、最後はアメリカ支社の社長であった。パワフルであり、アグレッシヴな人であった。
2年前、自転車で転んだ老人を助けようとして自らも転んだ。首の後ろを打って、首から下の感覚がなくなった。手足も自らの意志で動かない。理不尽なことである。頭は正常であるが故に、余計にそう思う。
「別に生きたくはない。しかし、自ら死ぬことができないのが辛い」、と話す。
カズの「笑ってても心で泣いていた」どころじゃない。辛い。しかし、それを生きなければならない。
辛い、辛い。カズよりも遥かに辛い人生もある。