ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎。

丁度5年前となる。
「芸術新潮」の2010年1月号は、創刊60周年記念特大号として「日本遺産」の大特集であった。
絵描き、物書き、写真家、デザイナー、学者、・・・・・、創作に関わる5年前のエッジの利いた連中68人に、芸術新潮が「あなたにとっての日本遺産とは?」、と問いかけた。ひとり5件以内で答えてもらった。さまざまな答えが返ってきた。票は多岐に亘った。
誰に頼まれたワケではないが、私はそれらを集計し「日本遺産ベスト10」を選定した。ベスト3は、(1)居酒屋、(2)富士山、(3)諏訪大社 御柱祭であったが、私は、「日本遺産補遺」として、16回に亘りその周辺の考察を連載した。
最後に、私の「日本遺産5つ」を記した。
熟考に熟考を重ね、考えに考え抜いた5つの私の日本遺産は次のようなものであった。
(1)明日香村の田畑、(2)広島原爆資料館、(3)北斎の画業、(4)JRローカル線の駅、(5)梅干し、であった。何故に、とお思いで時間のおありのお方は、2010年1月22日のブログをお読みいただきたい。
北斎に対する思い入れは深いんだ、私は。日本遺産のNo.3としているんだから。
5年近く前、こう記している。
<・・・・・、レオナルド・ダ・ヴィンチ、デューラー、レンブラント、そして近場から選べばパブロ・ピカソといった桁外れの巨人、巨大なアーティストは、日本では北斎ひとり。外せない>、と。
だから、北斎がらみの展覧会にはあちこち行っている。たまたまではあるが、八戸へ行った折り、八戸の美術館で北斎漫画の展覧会が開かれていたなんてこともあった。たまたまの出会い、もちろん観に行った。
信州小布施の北斎館へ行くと、声が出なくなる。祭屋台の天井画、身体が痺れる。
東町祭屋台の≪龍≫と≪鳳凰≫、上町祭屋台の≪男浪≫と≪女浪≫。世界に誇るべきものである。
でも、私が最も好きな北斎の作品は小さな肉筆画、≪富士越龍図≫。小布施の北斎館にある。

上野駅の公園口で降りる。ほとんどは右側へ歩く。東博にしろ、都美術館にしろ、藝大の美術館にしろ。でも、この日は左側へ歩く。上野の森美術館の方へ。

上野の森美術館の壁面は、このよう。

チケットを求め、美術館へ入るために並ぶ。その横にはモニターがある。入場待ちの間に見ることができるように、といったもの。

モニターには、当然これも出てくる。
≪冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏≫。

モニターに「諸国瀧廻り」が出てくる。

8点揃った。

モニターには次々と映像が現われる。
これは、≪諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧≫(部分)。

≪諸国瀧廻り 和州吉野義経馬洗滝≫(部分)。

HOKUSAI BOSTON、北斎 ボストン、元はと言えばフェノロサと岡倉天心に由来する。

≪冨嶽三十六景 凱風快晴≫、赤富士だ。
”冨嶽三十六景”は、当然なのであるが、”諸国瀧廻り”のほうが面白かった。

≪諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝≫。
いいな。

≪諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧≫。
凄いよ。

葛飾応為≪三曲合奏図≫。
応為、北斎の娘である。なかなかの手錬。
画狂老人・北斎の娘の立場も辛かったであろうが、葛飾応為、後世に名を残した。