四万六千日。

ブレーメンハウスの前には、青いプラスティックの盥が置かれている。
横の方には、「浅草発甘〜いフルーツほおずき」、とのコピー。

<霊峰白山のふもと 石徹白(いとしろ)の自然の恵み フルーツほおずき ひとえ姫>、との文言が見える。そのひとえ姫を使ったジュレ。美味しかった。
盥の中には、赤いほおずきが幾つも浮かんでいる。

ブレーメンハウスを出てすぐ、伝法院通りを右へ、仲見世の方へ歩く。
と、すぐに、傳法院南町奉行所が追っている鼠小僧次郎吉の人相書が現われる。その下には、四万六千日の貼り紙が。
この日は、7月10日。偶然ではあるが、四万六千日の日であった。
<この日参詣した者には四万六千日、つまり百二十七年もの間、毎日参詣したと同じ功徳が身にそなわるという。きわめて長命な人でも、この日一日だけ参詣すれば、一生の功徳が身につくという意味である>。
浅草生まれの浅草育ち、昨年も触れた一瀬直行の『浅草走馬燈』の中の「四万六千日」の一節。

伝法院通りを仲見世の方へ歩いてくると、目の前にスカイツリー。

仲見世を宝蔵門の方へ折れる。
人出が多い。四万六千日だ。

四万六千日のほおずき市、葭簀張りの店が並ぶ。

葭簀張りの内側から外を見る。

ほおずき一鉢2500円。

風鈴は500円らしい。

四万六千日の浅草寺本堂の前。
お線香を立てる大きな器からは、モーモーと線香の煙が立ちのぼる。
右手の方には、”恒例 四万六千日特別大祈祷執行”の文字が見える。

浴衣がけで来るべきなんだね。四万六千日の浅草寺。
”四万六千日”、”雷除”の提灯。
<当日はお堂の中で、雷除けのお守りが売りに出される。青い竹串にはさんだ三角型のお札である。これを参詣者は買ってゆく。・・・・・幼い頃の目蓋のかげには、おやじさんがかんかん帽や着物の襟に三角型の雷除けのお札をさしている姿が浮かんで来る。そして・・・・・>、(一瀬直行著『浅草走馬燈』)。

この日の本堂の中、人でいっぱい。
人ごみの中を少しずつ進み、前の方へ行く。お賽銭を投げ入れ、孫娘とその一家の幸せのみをお祈りする。
私自身を含め、あとはどうでもよろし。

本堂から宝蔵門の方を見る。

やはり本堂の階段の上から、右手にあたる五重塔の方を見る。
こちらにも、葭簀張りの店が並ぶ。
四万六千日の浅草である。