早稲田美研60−70 第7回展 出品録(6)。

今回のグループ展、仲間の多くから「凄いなー」って声を集めたのは、小澤潔の作品であった。

搬入の日、小澤潔、トンカチで発砲スチロールを壁面へ打ちつけていた。トントントントン、と。
白い発泡スチロールが4枚並んだ。テクニシャン・小澤潔、その技術を捨て去りマルセル・デュシャンに回帰したか、と思った。

が、初日にはこのようになっていた。
タイトルは、いずれも≪cube≫。
70cm×70cmの木版画である。
タイトルは同じ、”cube”。立体、立方体だ。
左の方から1点ずつ見ていこう。

立方体が4つ。そのひとつは微妙にはみ出ている。

ふたつ目。幾つもの立方体がある。下方の黒い部分にかかっているものもある。
それよりも何よりも、”cube”と名づけられたこの連作の凄さを感じるのは、そのマチエールだ。

三つ目は、こういう”cube”・立方体。
小澤潔、木版画の専門家。超絶技法を駆使する。

今回の”cube”の連作は、胡粉と水性の黒のみを使った、と言う。
ふたつの色のみ。それのみで、何とも言えぬ深い趣きのマチエールを創りだしている。どういうことか。
小澤潔、こう言う。
「使った色は、胡粉と水性の黒のみだ」、と言いこう続ける。「同じ版を何十回も重ねて刷った」、と。
思い描くマチエールが現われるまで、同じ版を何十回も重ねて刷ってたんだ。
そんなことがあるんだ。驚いた。

その得も言えぬマチエールに接近してみよう。

ここにも。

ここにも。

ここにも。

ここにも。

いや、どこをとっても惹かれるんだからしようがない。

これで打ち止めとする。
右手下に”cube”・立方体がひとつある。
右下の”cube”、立方体ではあるが、句点、マルとも思われる。
終りの句点・マルとする。