青もみじ巡り(25) 泉涌寺。
京都の町、御所を中心とした洛中、東山三十六峰の洛東、嵐山や三尾の洛西、先般の大原は洛北。概ね、東西へ行き交うJR東海道線の北側に多くの寺社がある。JRの線路の南側で馴染みの寺は、京都駅からすぐの東寺ぐらい、という人が多いのではなかろうか。私もそう。東寺へは何年かに一度程度は行く。
ところで、洛南という言葉がないわけではない。山科や宇治の方を指すらしい。でも、そこまで行かなくても京都駅のすぐ近く、JR奈良線でひと駅に泉涌寺と東福寺がある。共に幾つもの塔頭を持つ大寺である。
東山三十六峰の南の外れである。だから、洛南というよりも洛東の一番南という方が正確かもしれない。
10時すぎホテルを出、JRでひと駅の東福寺駅で降りる。
まず泉涌寺へ。
駅から10分ほど歩くと、この門が見える。
泉涌寺の総門である。
ンッ、寺号の上に”御寺”とついている。はたして”御寺”とは・・・
こういうことなんだ。
皇室と所縁の深いお寺なんだ。
皇室の御香華院(菩提所)なんだ。故に、”御寺(みてら)”。
一山案内図。広い。
中央下の現在地から右上の大門へ向かう。
泉涌寺道と呼ばれるこのような道を。
重文の大門。
大門、このような門である。
より簡潔な山内図もあった。
大門を入りすぐ左奥にこの小さなお堂がある。
楊貴妃観音堂。重文の楊貴妃観音像が納められている。
その前には、宝物館である心照殿。
「泉涌寺山内の近世絵画」と題した企画展が催されていた。
谷文晁、曾我蕭白、長澤蘆雪などの小品が展示されていた。
大門の前に戻り、広い参道を進む。
両側から緑の木々が枝を伸ばす参道、下り勾配になっている。”降り参道”とも呼ばれているらしい。珍しい。
降りていくにつれ両側の木々の緑の間から仏殿が姿を現わす。
堂々たる堂宇が姿を見せる。
重文の仏殿である。
その詳細は、こういうこと。
横に眼を転じると、この小さな建物が目に入る。
こういうものである。
仏殿の後ろの方へ歩を進める。
仏殿の真後ろに現われたのは、舎利殿。
美しい。
それにしても、何て優美な色調。
この舎利殿に納められている舎利は、お釈迦さまの遺灰や遺骨ではなく、お釈迦さまの歯である、という。
これも珍しい、と言えるのではなかろうか。