青もみじ巡り(15) 叡山を下りる。

根本中堂での朝勤行、どうしようかな、と思っていた。しかし、一回はその場に身を置いたのだし、何よりも早起きはきついな、ということで二日続いての朝勤行はパスとした。
フロントへのモーニングコールは、朝飯に間に合う時間に依頼した。

朝飯。前の日と同じようだ。お粥、美味しかった。
食堂の給仕のおばさんが、「弁慶水です。今、汲んできたばかりです。冷たいが美味しいですよ」、と水を置いていってくれた。弁慶水、ひと口だけ飲んだ。

8時前後の窓外、琵琶湖が霞む。
坂本の町も。

9時少し前、八瀬へ下りる叡山ロープウェイの駅へ送ってもらう。比叡山へ登ってきた時と同じく、下りる時も同じく、同じドライバーで。
思えば、延暦寺会館、宿坊とは称しているが、国際観光旅館とも称している。フロントの対応、食堂の人たちの動き、送迎の運転手の話や動き、すべて満点。国際観光旅館と称して当然。

9時少し前のロープウェイ乗り場、乗る人は誰もいない。

こういうことなんだ。
出発前のロープウェイの中から前を見る。
桜木が多くある。

下る。
上がってくる時も私ひとりであったが、下っていく時も私ひとり。他に誰もいない。

途中で行き違った上がっていく車には、多くの人が乗っていた。

ケーブルへの乗り換え駅が見えてくる。

ロープウェーからケーブルへの乗り換え駅の側に、”開運厄除かわらけ投げ”というものがあった。
3枚100円。100円玉をポトンと入れ、かわらけを3枚取り、前の輪っかを目がけて投げた。願掛けをして。
輪っかは5〜6メートル先にある。しかし、1投目も2投目も、外れる。その輪っかの中に入らない。3投目、やっと輪っかの中に入った。
よかった。ホッとした。

気がつけば、ここいらの桜、満開である。

こちらの桜木も。

桜花もさることながら、この苔むした幹が何とも言えない。

ケーブルの駅舎に入る。
と、「千日回峰行写真館」、とある。

光永覚道・大阿闍梨。
<平成2年9月18日、千日回峰行満行、「大阿闍梨」となる>、と。

駅舎の中。

千日回峰行に立ち向かう光永覚道師。

実は、司馬遼太郎、『街道をゆく 16 叡山の諸道』の中で、光永澄道大阿闍梨について記している。
光永澄道大阿闍梨、光永覚道大阿闍梨の師匠である。師弟、共に千日回峰行を成し遂げたんだ。

ケーブルで下る。

青もみじだな。

ケーブル、青もみじの中を進む。

京の町が、目の前に迫る。

全身、青もみじに包まれている中、ケーブル八瀬駅が見えてくる。

八瀬へ着いた。周りは青もみじ。
更なる青もみじを求め、大原へ向かう。