青もみじ巡り(12) 西塔(続き×2)。

釈迦堂からにない堂へと戻る石段のところで行き会ったお坊さんの一団はどういう人たちなんだろう、少し気になった。
行院で60日間の修業を積んでいるお坊さんなのであろうか。
天台宗のお寺の住職となるためには、横川にある”行院”で60日間の修業が必要である。瀬戸内寂聴も2ヶ月間籠山、厳しい行を積んでいる。行院の院長・横山照泰師は、その著『比叡山延暦寺 はじめての仏道修行』(2011年、新人物往来社刊)にこう記す。
<比叡山行院における修業は、ひとたび門を潜れば六十日間の満行(終了)までは、重病でもないかぎり下山することは許されません。・・・・・。朝五時の起床から夜十時の消灯までの間、・・・・・、天台宗の僧侶として・・・・・>、厳しい修業が続くそうである。
それにしては、あの20数人のお坊さんの一団は、頭を丸め輪袈裟こそ掛けていたが、ややあっけらかんとした印象がある。60日間の最初の修業ではなく、何年かに一度あるという、いわば運転免許の更新のような修業に来ていたお坊さんなのかもしれない。
それはともあれ、西塔エリアでは浄土院へ行きたい、と考えていた。
そちらの方へ歩きだす。

と、この石碑があった。タイトルは、『辨慶の飛び六法 勸進帳を観て』。
     一つの傷も胸の騒ぎもなく
     眞に為し
     さうして終った
     独り凝っと動かず
     晴れ渡る安宅の空に
     知らず知らず涙が滲じむ
     沁み徹る人生の味
     成就の味
            草野天平
ンッ、草野天平? 心平じゃないのか、と思うも、何度見ても天平である。
初めて知ったが、草野天平、心平の弟だそうである。晩年、叡山の僧坊で過ごしたそうだ。知らなかった。

浄土院へ向かう途中に、このようなところがあった。
細い道が下の方へ延びている。

京都一周トレイル、というらしい。
京都一周トレイル、幾つものコースがあるらしい。20数キロとか30数キロとかというものから、70数キロというものまで。
比叡山の荒行・回峰行を模したものかもしれない。

私は浄土院への道を進む。
このような道を。

浄土院への道の横は、このよう。
比叡山、三塔十六谷と言われることが実感できる。