ルートヴィヒ。

「困ったなー、うちの王様にも」、という王様は幾らもいるが、この人も困った王様だ。
150年前の1864年、わずか18歳でバイエルン王国の国王に就いたルートヴィヒ2世である。
個人としては、気の毒な面はある。
父王の死により急遽王位に就いたこと。ワーグナーの楽劇『ローエングリン』の白鳥の騎士に自らを擬えていること。故に、政治より芸術こそ力なり、と考えていること。自らが心酔するワーグナーを、宮廷に引き入れてしまったりする。重臣たちの反対を押し切って。「音楽は無上の幸せをもたらす」とか、「芸術には誰もがひれ伏す」とか、と言って。ワーグナーに入れこみ、国費を美しいもの、芸術に費やす。
困った王様だ。バイエルンの国民は、たまったものではない。

『ルートヴィヒ』、監督は、マリー・ノエルとピーター・ザアーの二人。
ワーグナー生誕200周年を記念する歴史劇。

ルートヴィヒ、線の細い男である。
一昨日のカール・ラガーフェルドとはタイプは異なるが、やはりホモセクシャル。
彼が心酔する芸術家・ワーグナーは自我が強い男だ。昨日の利休によく似ている。
それよりも、19世紀半ばすぎのこの時代、ドイツ連邦では激しい主導権争いが起きている。プロイセンの鉄血宰相・ビスマルクが虎視眈々とドイツの覇権を狙っている。
その中で、バイエルン国王のルートヴィヒは、戦争にも権力にも関心を示さず、ひたすら芸術を語っている。困ったものだ。退位を迫る動きもある。
この間、プロイセンの鉄血宰相・ビスマルクは、1867年のオーストリア帝国との普墺戦争に勝利し、1871年の普仏戦争にも勝ち、ドイツ帝国の礎を築く。その後、バイエルン王国は消滅する。
ワーグナーにしろビスマルクにしろ、我の強い濃い男である。ルートヴィヒが対するには、荷が重い。

ルートヴィヒ、類い稀なる美貌の持ち主だったそうである。
しかし、ルーマニア生まれのザビン・タンブレア、ただ線が細いだけで、類い稀なる美青年とは思えない。
それにしても、この時代のヨーロッパのロイヤル・ファミリー、美男美女が多くいたはず。しかし、面白いことにこの作品の中の皆さま、さほどの美男美女が出てこない。
その頃、ヨーロッパ随一の美貌と謳われているオーストリア帝国の皇后・エリザーベトも、そこいらのオバサン、といったもの。美を追求したはずの作品、どうしちゃったんだろう。



今日夕刻、オバマが来た。
3度目の来日にして、初の国賓として。安倍晋三が、何が何でも国賓にしちゃったようだ。安倍晋三、成果を挙げたい。しかし・・・
TPPも難しい。日米共に強力な圧力団体がある。日米の主張、真っ向から対立する。政治決断しかないが、それは日米共、難しかろう。
尖閣を睨んだ日米関係の強化はどうであろうか。米日よりは米中に軸足が移りつつあるアメリカ、尖閣問題で大きく踏みこむことはあるまい。
すきやばし次郎で食ったことなどはないが、安倍とオバマ、旨いすしを食ってよしとしてもいいのじゃないか。