ドラマ春場所(続き)。

今場所、振り返えれば15日間の中、9日は観ることができた。
実は、遠藤を追っていた。

春場所初日、土俵下控えの鶴竜。

初日の相手は遠藤であった。
昨年の春場所が初土俵である遠藤、まだ髷が結えない。

両者の勝敗は、先場所のもの。
共に素晴らしい。

立ち合い。
遠藤、回しにかかった鶴竜の手を切った。上手い。

遠藤、鶴竜を土俵際へ押しこんだ。

ンッ、チャンスだ。

が、土俵際で逆転される。はたき込みをくった。
鶴竜、今場所の敗戦は、3日目に隠岐の海に押し出された1敗のみ。あとは万全であった。唯一危なかったのが、初日のこの一番であった。

「ウーン、惜しかった。悔しい」、と遠藤。
遠藤の左目の近く切れている。これは場所を通じてのものとなった。
遠藤、この後、2日目に日馬富士、3日目白鵬、4日目琴奨菊と当たり、4連敗。

これは、白鵬に敗れた後の遠藤。

中日、大砂嵐との一番が組まれた。
人気者同士の一番、どこへもってくるか、そのくらいはのんびりとした相撲協会にも分かっている。

この一番、大砂嵐が一方的に攻めた。
しかし、遠藤、土俵際ギリギリで突き落とした。行司の軍配は遠藤に上がった。

しかし、遠藤の体も飛んでいる。

物言いがついてしかるべき一番であった。
しかし、物言いはつかなかった。
検査役・勝負審判の親方連中、何をしてるんだ。しっかりしろ、と言いたい。
今日、千秋楽の結びの一番、白鵬と日馬富士の一番の判定もおかしい。”両者同体で取りなおし”、という検査役の判定、どこを見ているんだ、というものである。
日馬富士の手が先に着いているが、白鵬の体も飛んでいる。
白鵬のうっちゃりを認めるならば、白鵬の勝ちである。しかし、白鵬の体がない、日馬富士の手はかばい手である、とするならば、日馬富士のの勝ちである。
いずれかであるにもかかわらず、検査役の親方衆は同体取りなおしとした。情けない。

9日目の遠藤、2年に亘り関脇の地位を保っている豪栄道には、格の違いを見せつけられた。
押し倒される。

11日目、やはり実力者の豊ノ島を押し出しで破る。

13日目、高安に上手投げで敗れる。
6勝7敗。あとがなくなる。

敗れた後の遠藤、今場所の見もののひとつ、左目近辺の傷。

14日目、千代大龍に突き倒しで敗れる。遠藤、負け越した。

今日、千秋楽の遠藤。
遠藤の四股、足が高くあがり、ほれぼれとするもの。身体が一直線となる、ソチ五輪でのロシアのフギュア選手・リプニツカヤを想わせる。

今日の千秋楽は嘉風との一番。

今場所好調の嘉風に寄り倒された。
これで6勝9敗。でも、前頭筆頭で6勝をあげた。よくやった。

鶴竜の今日の一番。
琴奨菊との一番。

鶴竜、左指し右前回しをとる。

万全の体勢で寄り切る。

鶴竜、初優勝。

ワンチャンスで横綱も手にした。

13日目の稀勢の里対鶴竜の一番。稀勢、鶴竜に突き出された。
今日、NHKの解説にあたった北の富士、来場所モンゴルの横綱が3人となることに関し、こう述べる。
鶴竜には、祝意を述べる。しかし、横綱がモンゴル出身力士ばかりであることに危機感を抱く、とも。
日本人力士、親方連中ばかりじゃなく、相撲協会に対しても、しっかり考えてもらいたい、と。このままでは、日本の国技ではなくなってしまう、と。稀勢の里、はね返さなければ。

初日には勝ったが、その後9連敗の琴欧州が引退した。
琴欧州、こう語る。最後の一番は白鵬との取り組みであった。
より思い出に残るであろう。
涙、涙でこう語る。「ここまで育ててくれて、感謝でいっぱい」、とも。
ここ数年、あちこち怪我が多かった。
琴欧州、白鵬と競い合った。大関には白鵬より先にあがった。横綱になるであろう、と言われた。でも、そうはならなかった。
それが相撲なんだな。
”それが相撲”で、来場所鶴竜が横綱となる。
大阪での”荒れる春場所”、今年はそうでもなかったのかもしれない。勝つべき力士が、勝ったのかもしれない。鶴竜が優勝、横綱を掴んだ会場には、朝青龍の姿もあった。
北の富士の苦言、相撲協会はまともにガバと受け止めなけりゃ。