ジャッキー・ロビンソン。

野茂英雄が行き、イチローが行き、松井秀喜が続き、間もなくマー君が行く。
メジャー・リーグ、どんどん日本人にも近づいている。「大リーグが大好き」の向井万起男ばかりじゃなく、4月の第2週がジャッキー・ロビンソン・デーであることを知る人も多い。
アメリカという国、時として素晴らしい映画を創る。

『42 世界を変えた男』、脚本・監督;ブライアン・ヘルゲランド。涙ボロボロ、感動作を創ってくれた。
ジャッキー・ロビンソン、メジャー初の黒人(アフリカン・アメリカン)選手。その背番号・42は、今、メジャーばかりじゃなくマイナーや独立リーグも含め、あらゆるリーグの全球団で、永久欠番となっている。戦いの末、勝ちとったんだ。
アメリカは野球の国である。しかし、野球というスポーツは、白人がやるスポーツだったんだ。第二次世界大戦の前まで、つい70年近く前までは。
1947年、ブルックリン・ドジャースのGM・ブランチ・リッキー、ニグロ・リーグのジャッキー・ロビンソンをドジャース傘下のマイナーへ引き入れ、その後、メジャーへと押し上げる。
メジャーへ黒人を入れることなど、まさに驚天動地のこと、周りの反発、ハンパなものではない。ジャッキー・ロビンソンに対しても、ドジャースのGM・ブランチ・リッキーに対しても。
球場での観客、相手チームの選手からのニガー、ニガーの口汚い言葉ばかりじゃなく、ドジャースのチームメイトも、ニガーと一緒には野球をやれない、と言う。ホントかな、と思うくらい汚い言葉を吐く相手チームの監督もいる。
ジャッキー・ロビンソン、切れそうになる時もある。そりゃそうだ。
しかし、GMのブランチ・リッキー、ジャッキー・ロビンソンにこう言うんだ。「やり返さない勇気を持て」、と。

”信じ続ければ、世界は変わる”、たしかにそうなんだ。
変わっていくんだ。チームメイトも観客も。

主役・ジャッキー・ロビンソンに扮するのは、チャドウィック・ボーズマン。
変わっていくんだ。しかし、それ以上に印象に残るのは、ジャッキー・ロビンソンをニグロ・リーグからメジャーの世界へ引き入れるドジャースのGM・ブランチ・リッキー。ハリソン・フォードが扮する。ハリソン・フォード、一世一代の名演と言える。
ハリソン・フォードが扮するドジャースのGM・ブランチ・リッキーこそヒーローである、と。
いや、ジャッキー・ロビンソンとブランチ・リッキー、この二人が対で感動の物語を創ってくれた。


「現代のベートーベン」と言われている男のゴーストライターが、名乗り出て会見を開いた。
出版の世界ではゴーストライターの存在、当たり前であるが、作曲の世界でのゴーストライターは、盲点であった。
しかし、考えてみると、創作の世界、どのような分野であろうとも、ゴーストライターが介在していておかしくはない。
「現代のベートーベン」の場合、”全聾”を装うところまで状況設定を進めてしまったところに、破局の端はあった、ということであろう。