うさぎスマッシュ。

冬日の下のMOT・東京都現代美術館。

もう終ってしまうが、この「うさぎスマッシュ展」が面白かった。
サブタイトルは、「世界に触れる方法(デザイン)」。
社会が複雑化するにつれ、デザインも大きな変化を遂げている。絶え間なく消費されるデザインとは異なり、社会に対する人々の意識に変化を与えるデザインがより重要性を増している、というようなコンセプトによるもののようだ。

それにしても、「うさぎスマッシュ」ってどういうことって思っていた。
<『不思議の国のアリス』のうさぎのように、うさぎは私たちをワンダーランドへ誘い、常識的な見方や固定観念にスマッシュ(一打)を与える者の象徴です>、というのが、キュレーターの意図らしい。
「ああ、そうですか、なるほど」であるが、これがなかなか面白い。

まず初っ端は、これ。「迷宮の庭」。
レアンドロ・エルリッヒ作≪ロスト・ガーデン≫。

窓に近づくと、向うのあちこちの窓に姿が映る。これは少し離れた時のものだが、よく見ると二か所私の姿が映っている。
<鏡に映る像と人工の庭が本物のように気づくことで、自分の知覚が不完全であり、目に見えるものが全てではないということに気づかされる>、と説明にある。

「ライブの地球に触れる手だて」。
竹村真一+作≪触れる地球≫。

ほぼリアルタイムにデータが更新されているデジタル地球儀。
地球儀を手で押すと、さまざまなデータが表示される。
現在の地球のあちこちの様、北極から南極の方へ飛んでいる鳥、温暖化の影響、さまざまな地球の事象がリアルタイムのデータで表われる。

フラッシュを使わなければ、撮影はOK。
300円と割安の音声ガイドも、とても丁寧。

「情報分析・・・」というところ、若い女性が集まっている。
<EU(欧州連合)首都の設計戦略に関わっていたシンクタンク・AMOは、EUを統合象徴するような・・・・・>、と説明書き。

一番左、<通常、EUはブルーでヨーロッパの一体化を表象している>、と記されている。

次いで、<実際のヨーロッパは多種多様な社会文化圏の集まりである>、と記され・・・

<多数のグローバル企業が集結するヨーロッパ>。

<多様な歴史文化をもつヨーロッパ>。

<様々な宗教が分布しているヨーロッパ>。

<種々の政党が活動しているヨーロッパ>。
ヨーロッパ、多様な顔を持つ。

AMO、各国の国旗の色を抽出して「EUバーコード」を提案したそうだ。

「いろいろな個室」。
右の壁面は、マイケル・リー作≪住居≫シリーズ。
建物の平面図を、50分の1のスケールで輪郭線だけで描いている。

ワジリスタン・ハベリ。
(アボッターバード、パキスタン、1005年〜2012年)。
(ウサマ・ビン・ラーディンの最後の家、2006年〜2011年)。

中銀カプセルタワービル No.2.
(東京、日本、1972年〜)。(取り壊し待ちの状態)。

ウィキリークス本部(バーンホフ社)。
(ストックホルム、スウェーデン、1994年〜)。

ニュージャージー州立刑務所。
(ニュージャージー州、アメリカ、1799年〜)。
網走監獄へ行ったことがある。これと同じ五翼の放射状舎房があった。監視し易いんだ。
マイケル・リーによる輪郭線だけの簡素な平面図、さまざまな人生、物語が紡がれる。
あと少し、明日、続ける。