十変百化。

「十変百化」なんてヘンな言葉だなー、そんな言葉はないよ、と思われるお方は正しい。「千変万化」という言葉はあるが、「十変百化」という言葉はない。
しかし、常に「千変万化」の1/100程度の変化を遂げている人はいる。私は、「十変百化」と呼ぶ。犬飼三千子もそうである。
個展、グループ展、団体展、犬飼三千子、年に4〜5回は作品を発表している。平面や立体ということばかりじゃなく、その作品、常に変化している。前回とも前々回の作品とも異なる。「十変百化」と記した所以である。

銀座ギャラリー・オカベでの今回の個展もそう。

≪花によせて(1)、(2)≫。
水性木版画。

≪花によせて(C)、(D)≫(部分)。
油性木版画。
同じ木版画だといっても、水性と油性、用いるインキにより作品の面立ち、大いに異なる。水性は草食系で、油性は肉食系と言えようか。
上下2枚の油性木版画の右側を見る。大きな花弁である。
その模様、人を食うことはなかろうが、世界最大の花・ラフレシアと見えなくはない。油性インキであるが故での幻想だ。

左から≪宙(1)、(2)、(3)≫。
銅版画。

≪宙(4)≫。
銅版画。
木版画が凸版なのに対し、銅板画は凹版である。
凹版にも幾つもの種別がある。線で描くエッチングに対し、これはアクアチント。面で描くという技法。色調もどことなく、・・・・・。・・・・・のところには、皆さまそれぞれお好きな言葉を入れてください。

これ1点のみ、版画でなくアクリル画。
タイトルは、≪往にし方≫、183×366cm。大きな作品だ。キャンバス4枚に別けて搬入したそうだ。
中心の花は、世界最大の花・ラフレシアに違いない。
犬飼三千子展、今週一杯、銀座4丁目の和光の裏、ギャラリー・オカベで催されている。お時間のおありのお方はどうぞ。