夏の記憶(2) 一升瓶。

夏の初めの頃、昼は蕎麦屋、夜は飲み屋、という店で飲んでいた。夕刻、丁度、飲み屋に切り替わった頃。
酒飲みである江戸川区と葛飾区のエキスパート・S.H.も一緒に。S.H.、日本酒が好み。ひと晩に幾つかの銘柄を飲む、というのが好きだ、という。幾つかの一升瓶が出てきた。

福島の酒「飛露喜」の後には、ンッ、ずいぶんハデな一升瓶が出てきた。

青い一升瓶も珍しいが、ラベルのハデなこと。
いや、それ以上に銘柄名が凄い。「ビキニ娘」ときた。日本酒にビキニ娘。このミスマッチ感、インパクトの度合い、弥増す。

ビキニ姿の若い娘、頭はモヒカン刈り。手にはバレーボールを持っている。
迫力あるなー。

瓶の裏には、このようなラベルが。
醸造元は、弘前の三浦酒造。この醸造元、「豊盃」という銘柄で著名だそうだ。

この飲み屋の若い主人が言うには、「ビキニ娘」は季節限定、つまり夏のみの酒だそうだ。その他の季節には、「モヒカン娘」となる、という。
ビキニは脱ぎ捨て、和服を着た姿になる、と。頭は、もちろんモヒカン刈り。故に、「モヒカン娘」。面白い。
その上にである。
どうも、「ビキニ娘」にしろ「モヒカン娘」にしろ、ビジネスとしても成功している模様。マーチャンダイジング、売れてこそなんぼの世界である。モヒカン刈りのビキニ娘の一升瓶、やったねーって作。
半月ほど前、昼の時間にソバを食いに行った。
「あのビキニ娘は、そろそろ衣替えになるんでしょうか?」、と訊いた。「そうですね。もうそろそろモヒカン娘になりますね」、という答えが返ってきた。