どっちがギャングだ。

これも善と悪との戦いのお話。
善と悪との戦いと言っても、昨日の『G.I.ジョー』のような荒唐無稽なものじゃない。実話に基づくお話なんだ。
物語の舞台は、1949年のロサンゼルス。
そのLA・ロスを暴力と賄賂で手中に納めていたのはユダヤ系のギャング、ミッキー・コーエン。極悪非道な男である。その冷血ぶりが凄い。ヘマを犯した子分の頭に電動ドリルをブチ込む。それも、命乞いをする子分に許す素振りを見せたすぐ後に、といった冷血ぶり。悪だ。
善は誰だ。警察に決まっているじゃないか、というわけにはいかない。ロス市警の多くのお巡り、ミッキー・コーエンから賄賂を貰っているんだから。警察ばかりじゃない。政治家も。だから、ロザンゼルスの街、ミッキー・コーエンの意のままだ。
しかし、ロス市警にもカタブツがいる。賄賂なんて受け取らないお巡りだ。いわばロス市警のはぐれもの。巡査部長ジョン・オマラを中心に6人のチーム。極悪人・ミッキー・コーエンに対峙する。

『L.A.ギャングストーリー』、監督はルーベン・フライシャー。まだ若い男だが、そこそこの娯楽作を作りあげた。
善玉、ロス市警のギャングスター・スクワッド(いわばギャング部隊)を率いるジョン・オマラに扮するのは、ジョシュ・ブローリン。半年ほど前に記したウディ・アレンの『恋のロンドン狂騒曲』で、売れない作家に扮していた役者。
それより悪玉だ。冷酷非道な冷血漢、ミッキー・コーエンには、ショーン・ペンが扮している。さすがショーン・ペン。その悪人ズラ、バッチリ決まる。
ともかく、ミッキー・コーエン、悪いヤツなんだ。

ミッキー・コーエン、こういうヤツ。
ハリウッド・スターにも手を伸ばしていたんだ。フランク・シナトラばかりじゃなく。
そう言えば、上のポスターに配されているSLAPSY MAXIE’S(スラプシー・マキシーズ)は、ミッキー・コーエンが所有するLA有数のナイトクラブ。ディーン・マーティンとジェリー・ルイスの西海岸初公演の舞台でもあったそうだ。
シナトラ一家の皆さんは、すべてミッキー・コーエンの盃を受けていたようなものだったんだろう、な。サミー・ディヴスjr.も含め。
しかし、ロス市警としては、何とかしなくちゃいけないでしょ。

で、本当にキレたロス市警のギャングスター・スクワッドと、ロスの夜の帝王、ミッキー・コーエンとの戦いが始まる。
ロス市警のギャングスター・スクワッドの6人組、半端じゃない。どっちがギャングだ、というほどのアクション。

OVERの前の文字が解らない。しかし、OVERがあるということは恐らく、”ミッキーの命運もつきた”ということであろう。
アメリカンやくざ映画の正統なる道を歩んでいる、な。