天才か?

絵描きには変わったヤツが多い。しかし、自ら天才を公言する人は、そうはいない。そうはどころか、まあいない。近場で思い浮かぶのは、こちらでは岡本太郎、あちらではサルバドール・ダリぐらい。
会田誠展、六本木の森美術館で今月末まで催されている。そのサブタイトルは、「天才でごめんなさい」。このサブタイトル、森美術館のキュレーターが考えたにしても、それを受け入れた会田誠、その気は充分。天才を自認しているかに思える。
この展覧会、4か月余、連日4〜5000人の入場者があるそうだ。さすが天才、なのかな。

地下鉄の乃木坂駅の改札を出ると、すぐこう。

六本木ヒルズの方へ歩くと、こう。

会田誠展のポスター。≪滝の絵≫。

こんなところにも。

ここにも。
六本木ヒルズのあちこち、これでもかって会田誠展のことばかり。

右側の垂れ幕は≪大山椒魚≫の一部。
美少女が大きな山椒魚に寄り添っている絵柄。

「ごめん」の前は、「会田誠」、「天才で」、後は、「なさい」である。


52階のTOKYO CITY VIEWからの眺め。
東京タワーの向こうは東京湾。
右の方に、ガラスに近寄り外を眺めている人が写っている。

ボーとしているが、美少女が寄り添う≪大山椒魚≫の一部。

ダンボールで作った≪新宿城≫の中でビデオが流れている。
2005年の作≪日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ≫。
ビン・ラディン、こう話している。
CIAがビン・ラディンを急襲する6年前の映像である。
もちろん、会田誠の自作自演ですよ。

間違っても間違わなくてもいいが。こういうこと。

≪紐育空爆之図≫。チラシから。
アルカイダによる9.11テロの5年前、1996年の作。
ニューヨークを空爆しているのは”ゼロ戦”である。
ゼロ戦のニューヨーク急襲である。何を思う?
古い襖の裏に描いた「戦争画 RETURNS」、迫力ある。”天皇陛下万歳”の血書も。
右か左か、分からない。どちらでもいいんだ。そういう思いなんだから。

「ジャ 皆サン」、この後、「サヨナラ」となる。


六本木ヒルズ53階へのエスカレーターの上には大きな提灯がある。


その表面はこのよう。

会場内で唯一撮影を許されている作品。
おにぎり仮面である。

この角度から見れば、弥勒菩薩半跏思惟像。
のりがついている。おにぎり仮面である。

会場を出る時に気がついた。
「一人で酒を飲め」、ということに。≪マイ・ピース・ポール≫。

この展覧会、こういう立て札が立っている。
”18歳未満お断り”というものが。
物議をかもしている。
ポルノじゃないか、少女ポルノじゃないか、と。
「犬シリーズ」その他、そのようなものはある。それがどうした。会田誠、さほどのこととは思っていないようなんだ。どうもそうなんだ。
「芸術新潮」の今月号に、会田誠とよしもとばななの対談が載っている。
会田誠とよしもとばなな、ほぼ同年代なんだ。よしもとばなな、こう言う。「クリアなんですよ。会田さんの表現は絵でも映像でも文章でも」、と。
会田誠、こうも言っている。
「”天才でごめんなさい”というタイトルも、このタイトルに意味は込めてございません、ということだけを言いたかったようなものです」、と。