師走、新宿。

一週間前、新宿へ行った。ここ何年か12月恒例となっているゴールデン街のバーでの犬飼三千子展を見るため。いつも一緒に行くR.H.に加え、H.I.の3人。
紀伊国屋の前で待ち合わせ、まずはおでん屋へ。芸がないが、いつも同じ。

新宿通り、紀伊国屋の斜め前、昔の三越の後はビックロ。ビックロ、ビックカメラとユニクロのコラボであることぐらいは知ってるが、それでビックロか。ビックリしちゃいけないんだ。

靖国通りを渡った区役所通り。ささやかな電飾が灯る。

靖国通りから四季の道へ。
四季の道なんて、”らしく”ない名前がついているが、なに昔の都電の引き込み線の後。うら寂しくて当然だ。

ゴールデン街の看板。正面は新宿区役所。

ゴールデン街、G2通り。
まだ6時すぎ、看板に灯が入っているのは半分ぐらいか。十月は点いている。

木の狭い階段を上がると、「Bar 十月」のドア。

犬飼三千子の作品、版画の小品ばかり10数点。木版、リト(石版)、エッチング(銅版)。
なお、中央の作品のタイトルは、「ふじ」。このような富士山を描くようになったら、犬飼も年かな。それとも巨匠の域に入ったってことかなー。

「まるまる」。たしかに。

ゴールデン街の店、3坪か4.5坪といった店が多い。南側のG2通りは、4.5坪が多いらしい。十月も4.5坪であろう。カウンターの前のイスに座ると、すぐ後ろは当然壁。そこにも作品が。
右端の作品のタイトルは、「淋しい夜」。

H.I.が何かを描き始めた。ああ、H.I.って、この秋に「諸国漫遊だ」ってタイトルで紹介した石田宏である。
飲むと、周りの情景をスラスラッと描くのが得意。
自発的にというわけではなく、多分にR.H.にけしかけられて、という面があったが。「この十月も描いとけば」って。このR.H.は、つい先日までジュンク堂でさよならフェアをやっていた「どうぶつ社」の久木亮一。
フェアは上手くいったようだ。途中で来た文藝春秋の社長など、今までに、どうぶつ社の本を19冊も買っていたそうだ。全出版物の1/10にあたる。限られた分野の出版社であったが、コアな隠れたファンがあちこちにいるんだ。
それはともかく、

石田宏、たちまちの内にこのようなものを描きあげた。
石田、ほとんど前を、対象を見ない。ただボールペンをサッササッサと動かしている。

十月、客の動きは少ない。
私たちが十月へ入っていった時には、犬飼三千子の他に客が1人いた。その人が帰った後、女性の客が1人入ってきた。
ママは、読書中。なお、左上の作品も犬飼の版画。
石田、やたらに酒の強い男であるが、大分できあがってきた。夕刻会った時、「今日は1時から飲んでいて」って話していた。いかに強い男でも、ずっと飲み続けではできあがりもする。
8時前、私たちも帰る。

まねき通り。
ここも人が少ないな。第一、灯りが点いている店が少ない。
ゴールデン街の師走、このようなものかもしれない。

来た時とは逆、ゴールデン街から靖国通りの方へ歩く。

靖国通り。人も車も多くなる。

新宿駅東口、アルタ前。
師走の新宿、行くことも少なくなったが、以前に比べ、どこかおとなしくなった感じがする。寂しくなったというか、どこか。時間ということもあるのだろう。8時なんて、以前はまだまだこれから、という時間だったからな。
一週間前の新宿、ゴールデン街のことを書いていたら、今日は大晦日。
今年は、これでおしまい。
さっき、蕎麦を食った。今、焼酎のお湯割りを飲んでいる。