忘れられない4景。

1年、すぐ流れていく。速いものだ。去年もそう。速かった。
春夏秋冬、いや、年の初め1月からだから、冬春夏秋から1枚ずつ、「これ、忘れられない」ってものを4枚残しておきたい。

まず冬。
もう2年前になる。3.11の大震災の後、三陸へ行こうと思った。
しかし、一昨年は行けなかった。釜石までの電車が復旧した後も、その先への電車はなかった。バスも復旧していなかった。何とか少し動いたが、宿が取れなかった。復旧関連の人たちでいっぱいであった。なんだかんだで、一昨年は行けなかった。
去年1月、釜石から大船渡まで、そして、大船渡から気仙沼までのバスが通った。1日2便。何とか宿も取れた。嬉しかった。1月下旬、遠野を経由し、三陸沿岸へ行った。4日間の旅。
大船渡を出たバスが陸前高田へ入った。陸前高田の町、すべて津波に襲われ流された。何もなかった。
突然、あの一本松が現れた。
バスの窓から見ただけである。でも、7万本の松林の中、ただ1本のみが残った松。何故だか解らないが、感動を覚えた。
今、切り倒し、防腐処理を施しているようだが、海水に浸され、立ち枯れたそのままの姿を見ることができたことが、心安らぐ。
昨年見た光景の中、最も忘れられないものである。

春。
4月の初中旬、パリにいた。日本ほどではないが、あちこちで桜花を見た。
中で最も印象に残るのは、これ。
セーヌ左岸、オーステルリッツ公園の桜木。高さはそうもない。でも、枝を横に大きく広げていた。パリで見た桜の中では、一番存在感のある桜木である。
パリの桜、八重桜。ボテッと妖艶な感じがする。この桜木に関しては、その存在感からみて、
     奈良七重七堂伽藍八重さくら     芭蕉
の句が、まさに重なる。

夏。
これも忘れられない。
8月、江戸川区&葛飾区のエキスパート、S.H.の先導で葛西臨海公園へ行った。水族館も面白かったが、京葉線の葛西臨海公園駅前にある噴水で遊ぶ子供たち、何とも言えぬ感を抱いた。
特に、幼稚園か小学1年生坊主が2人、噴水の中ほどに入っていった光景。勢いよく噴き出す噴水に包まれた幼稚園か1年坊主、得も言えぬ美しさ。いや、それよりも、再生とか、希望とか、といった言葉が頭に浮かんだ。

秋。
東博のユリノキだ。
それなりの紅葉風景で、思い入れもある光景、ないではない。なのに、どうしてユリノキか。
第一、このユリノキ、黄葉の旬は過ぎている。おそらく、4〜5日ぐらい前がピークだったろう。しかし、それはそれとして、やはり、この東博のユリノキ。
日常、意識している木などそうはない。ましてや、地べたのない集合住宅に住む私は、なおのこと。
1〜2か月に一度程度は会う東博のユリノキ、多少葉が落ちていても、この機会に、忘れられない光景の1枚に挙げておくことにする。
それはそうと、今年はより速く流れるだろう。
どうなるのか。何をするのか。
さしあたり、ほぼ毎日記してきたこのブログ、せめて週に2〜3回にすることを考えている。そうでなければ、ブログを書きながら、毎日毎日焼酎のお湯割りを飲む量が増え、その内アル中になってしまいそうな予感がする故に。