シルク・ドゥ・ソレイユ 3D。

カナダに本拠を置くシルク・ドゥ・ソレイユは、とても成功した集団らしい。いや、成功っていうのは、事業としてという意味だ。企業体として、という意味で。
何しろ、レジデント・ショー、常設で公演を行っているのが、ラスベガスの幾つものホテルの特設会場を初め10ばかり。ツアー公演は、世界中あちこちで開かれている。観たことはないが、日本でも公演の広告を時折り見る。

一歩踏み出せば、そこは不思議な幻想空間、異次元の世界、という仕掛け。
シルク・ドゥ・ソレイユ、アクロバット・パフォーマンスを主とするエンターテインメント。空中ブランコあり、トランポリンあり、綱渡りあり、ジャグリングあり、さらに、空中ばかりでなく、アクロバチックな水中パフォーマンスもある。
サーカスといえばサーカスだ。それを洗練させて、幻想的な物語性をつけ加える。で、<一歩踏み出せば>、という世界を作っている。創業者は、元はサーカスの芸人だそうだが、事業感の鋭い人なんだろう。

映画のサブタイトルには、「彼方からの物語」とついている。特に意味はなかろう。”彼方”という言葉に、フワフワッとした幻想性を包み込んだものかもしれない。
監督は、アンドリュー・アダムソン。プロデューサー、制作総指揮としてジェームズ・キャメロンが加わっている。ジェームズ・キャメロン、多くの場面で、自ら3Dカメラを操作したそうだ。
そうだ、”3D”というところに、この映画の”依って立つ”ところがある。
人がいきなり目の前に飛んでくる。水しぶきがかかりそうになる。しかし、目の前で消える。当たりもしなけりゃ、かかりもしない。無茶を承知で言えば、3D、その程度のものか、という思いもしないではない。

筋書きはある。ある少女がサーカス団の公演に訪れ、空中ブランコ乗りの青年と出会う、というもの。今も昔も変わらぬ物語である。
それにしても、サーカスは、やはりテントに限るな。このように。

遥か昔、サーカスというものを何度か見た。面白かった。サーカスが舞台の映画も、幾つか観た思いがある。後年、テレビでサーカスの番組を観たこともある。
思うに、サーカスの華は、空中ブランコであった。シルク・ドゥ・ソレイユに於いてもその華は、空中ブランコだ。

昔のサーカスにはなかったさまざまな仕掛けはあるのだが。
シニア割引の1000円で、ラスベガスの幾つかのホテルの特設会場での、シルク・ドゥ・ソレイユのアクロバット・パフォーマンスを観る。
一日24時間、電気の明かりが点いているラスベガス、1000円でというのも悪くはないが、現地ラスベガスへ、というのも悪くはない。40年近く前、確かシーザース・パレスで、当時絶頂のアン・マーグレットの舞台を観たことを思い出す。
マーク・ロスコがらみもある。ずいぶん行っていないアメリカ、行きたい。その内に、行かなくちゃ。