デンジャラス・ラン。

CIAのエージェント(諜報員、工作員)がいない国など、ないであろう。日本にもいる。5、60人いるらしい。
”Safe House”というものがある。CIAの工作員が情報提供者と会ったり、何らか関わりのある人物を隠しておく所、いわば、”隠れ家”である。東京では、赤坂近辺、アメリカ大使館の近くにあるようだ。
南アフリカ、ケープタウンのCIAのセーフ・ハウスの管理人は、マット・ウェストンという若いCIA。セーフ・ハウスの管理人なんて、言ってみれば留守番みたいなもの。CIAのエージェントらしい、もっとハデな部署につけてほしい、と思っている。
そのマット・ウェストンが管理するケープタウンのCIAのセーフ・ハウス(隠れ家)に、大物が運ばれてくる。
元CIA、CIA史上最強のエージェントと言われたトビン・フロストである。アカデミー賞俳優、デンゼル・ワシントンが演じる。

伝説の元CIA、CIA史上最強のエージェントと言われた男、今は、世界36か国から指名手配されている。
この男、人の心を読むことにも長けている。14の国籍を使い分けている、とも言われる。しかし、世界中から狙われている。アメリカを裏切った、敵に情報を流した、ということらしい。もう、追っ手から9年間も逃げている。
しかし、突然、南アフリカ、ケープタウンのアメリカ領事館へ出頭する。何故か。トビン・フロスト、CIAが血眼になって探していた男である。ともかく、セーフ・ハウスへ運び込む。
監督は、ダニエル・エスピノーサ。

ところが、そのCIAのセーフ・ハウス、何者か解らない連中に襲われる。
トビン・フロストを殺そう、という連中である。いや、半端じゃなく凄まじい連中だ。セーフ・ハウスの管理人のマット・ウェストン、トビン・フロストを連れ逃げる。
この映画、サスペンス映画である。アクション映画でもある。それと共にロード・ムービーでもある。
”BRICs”、という言葉が初めて使われたのは、10年ほど前である。それが、1、2年前からは、”BRICS”となった。
最後のエス(s)が、小文字から大文字に変わった。サウス・アフリカ(南アフリカ)が、勢いのあるブラジル、ロシア、インド、中国の仲間に入ったのだ。
ケープタウン、近代都市である。2年前には、サッカーのW杯も開催した。
その競技場も出てくる。しかし、富の格差も大きい。大きいと言うより、酷いもの。貧しい黒人居住区・ランガも出てくる。さらに、ケープタウン郊外の砂漠の中のセーフ・ハウスも。

しかし、その中を、新米CIAのマット・ウェストン、伝説の大物CIA、トビン・フロストを連れて逃げる。
いや、襲ってくるのは、凄まじい連中なんだ。本当に。
銃撃戦、カーチェイス、特に、大都市ケープタウン市街でのカーチェイスは、迫力満点。

この映画のポスターには、”お前は悪魔と逃げている”、という惹句が付いている。
ともかく逃げる。何しろ、連れているのは、危険極まりない男、この上もなくデンジャラスな男だから。デンジャラス・ランだ。