トレード。

このようなトレードがあるとは、思いもしなかった。
それにしても、今日何度も流れたイチローの、「今の思いを簡潔に表現することは難しいが、11年半、ファンの方と同じ時間、思いを共有したことを振り返り、・・・・・20代前半の選手が多いこのチームの未来に来年以降、僕がいるべきではないのではないか、・・・・・僕自身も環境を変えて刺激を求めたいという強い思いが芽生えてきた。・・・・・」、という映像と言葉、とても興趣に満ちたものであった。
イチローのヤンキースへの移籍、朝毎読3紙の夕刊を読み較べた。
一番扱いがハデなのは毎日。一面トップにデーン。もちろん社会面とあと1面にも。次いでは読売だった。一面トップは譲るが、その左に大きく扱っている。もちろん社会面とスポーツ面にも。朝毎読3紙の中では、朝日の扱いが一番地味。一面で報じてはいるが、小さい。社会面も。ただ、スポーツ面で大きく報じている。
朝日の姿勢、毎日や読売と異にしている。イチローのヤンキースへの移籍、社会問題であるという意識、毎日や読売と異なっている。スポーツ分野でのビッグニュース、ということであろう。少し違うな。これは社会問題だ。
2001年にシアトル・マリナーズへ渡ったイチロー、10年間に亘り200本安打、という記録を作った。大リーグでの数々の記録を打ち建てた。しかし、昨年、200本安打が途切れた。イチローに陰りが見えた。
今年のイチローも、今ひとつ調子が上がらない。イチローの打率、2割6分台。力の衰えは否めない。イチロー、38歳なんだ。
今年は、5年契約の最終年である。イチローの年俸は、1700万ドル。いかにドル安のご時世とはいえ、日本円にすれば13、4億。マリナーズで一番の高給取りである。
イチローほどの選手になると、契約年が切れる前に、球団側と選手の代理人との間で、来季の契約条件の交渉が持たれる、という。
おそらく、その過程で、シアトル・マリナーズ、力の落ちたイチローの来季以降の年俸、大幅に減じることを考えている、と伝えたのであろう。
イチローは賭けに出た。確かに力は落ちている。しかし、あとひと勝負する、と。
ただし、その球団は、メジャーであればどこでもいい、というワケではない。誰しもが、ああ、というニューヨーク・ヤンキースに限る、と。
イチロー、シアトル・マリナーズでのフランチャイズ・プレーヤーの座を捨て、ニューヨーク・ヤンキースへ移籍した。
今日、紙媒体、電波媒体、イチローに関し、さまざまなことを報じた。多くの人が、様々なことを話していた。イチローの心中を慮って。
でもしかし、今日、誰もが触れていないことがある。イチローと同年、38歳の松井秀喜のことである。
タンパベイ・レイズの松井秀喜、打率、1割5分を切っている。いつ戦力外になってもおかしくない。イチロー、同じ年の松井秀喜のことを思ったのではないか。いつ首を切られてもおかしくない松井秀喜に、自らの姿を投影していたのではないか。