ボクサー。

久しぶりにいい試合を観た。テレビを通してだが、いい時間を持った。
WBCミニマム級世界チャンプ・井岡一翔と、WBAミニマム級の世界チャンプ・八重樫東の王座統一戦。日本人同士によるスーパー王座決定戦は初めて。23歳と若い井岡が有利だと言われる。
試合展開もそのようになった。3ラウンドを終わった時には、八重樫の両まぶたの腫れは相当なものだった。若い井岡一翔、テクニシャンだ。上手い。しかし、29歳で苦労人の八重樫東も大したもの。
重いパンチを振り回す。脹れた左目、ほとんど見えない、と思われるのに。4ラウンド終了時のジャッジの採点は、3者ドロー。たしかに、そうだった。
フルラウンドを闘い、井岡一翔が勝った。僅差ではあったが、妥当ではある。
勝った後の井岡一翔は、言った。「八重樫さんは、強かった」、と。
私は、八重樫東の試合を観るのは初めてだった。いいボクサーだ。左目は恐らく見えなかったであろう。その中、あれだけ打たれて、なお手が出る。ガッツがあるボクサーだ。
日本人同士の世界戦、ということで、前座で流れた映像がある。
これがよかった、凄かった。
17年前のWBC世界バンタム級王座戦、薬師寺保栄と辰吉丈一郎の一戦だ。この一戦、薬師寺保栄が勝った。片目を潰した辰吉丈一郎、すさまじい闘いを挑んだ。その二人が出てきた。
辰吉丈一郎、今、42歳になる。日本のコミッショナーは辰吉の試合を禁じているが、2〜3年前には、タイかフィリピンで試合をしている。ボクシング・バカだ。
こういう男こそ、真のボクサー、私は大好き。
でもしかし、コメントを求められた辰吉丈一郎、常に「解からんわ」、と言っていた。その姿、見ているだけでパンチドランカーの症状が現れてるな、と思われる。
しかし、ボクサーだ。
カッコいいよ、辰吉丈一郎。
パンチドランカーであろうと、ボクサー、そうでなきゃ、辰吉丈一郎。