パリ+リスボン街歩き  (32) ワンちゃん。

集合住宅、アパート住まいなので、大きなものは飼えないが、小さなものなら飼うことができる。”飼育者の会”なるものがあり、こと細かな規約が謳われている。
廊下を歩かせてはいけない。エレベーターを使うことはできるが、他の人が乗っている時は一緒に乗ってはいけない。敷地内であっても、公道に出るまでは歩かせてはいけない。公道に出るまでは、抱くか車に乗せるかで運ぶ。その他、とても厳しいキマリがある。毎月の会費も徴収されるし、毎月の例会もある。
アパートの住人、自らを厳しく律してペットを飼っている。小型犬を飼っている人が、案外いる。私のところでも飼っている。3年ほど前から、フレンチ・ブルドッグを飼っている。
フレンチ・ブルドッグ、本来イギリスの犬であったブルドッグがフランスへ持ちこまれ、そこで改良されたものらしい。姿、形はブルドッグであるが、小型化された。小型ではあるが、ガッチリとした体形である。コウモリが羽を広げたような耳、バット・イヤーを持つのも、改良点のひとつらしい。
小型犬とはいえ、重くなった。引っぱられて、一度道でひっくり返された。私がである。その時、道に車が走ってこなかったので、ことなきを得た。それ以来、私が散歩に連れて行くことはなくなった。散歩その他、すべてカミさんの役目である。
犬も、そのことをよく解かっている。自分の主人は、カミさんだということが。世話をしない私に対しては、どのような時でも、一瞥をくれるのみ。
そのような犬との縁が薄い私ではあるが、町中で犬と出会うと、「オッ、犬だな、ワンちゃんだ」、という程度の反応はする。
パリには一軒家なんてない。アパートばかりの町である。でも、そのアパートに犬や猫が多く飼われている。しかし、4月に行った時、パリの町中ではほとんど犬の姿を見なかった。
2か月前、私が見たのは、かろうじてこの程度。

どこだったか、憶えていない。犬も、小柄なおじさんも、「オッ」という感じではあるのだが。

これはセーヌの左岸、アナトール・フランス河岸の道。お昼頃であった。
スーツ姿でネクタイも結び、ビジネスバッグを持っている男が、ワンちゃんを連れている。この男も小柄であった。
そんなことはどうでもいいが、スーツにネクタイで、何でワンちゃんなんだ。不思議だ。

これは、セーヌ右岸のマレ地区。大きな犬と小さな犬を連れている女性がいた。
「写真を撮らせてもらってもいいですか?」、と聞いた。この女性、「もちろん、どうぞ」、と応えて、止まってくれた。

よく見ると、大きな犬と小さな犬、さらにもっと小さな犬もいる。真ん中にいる黒いヤツだ。可愛いヤツだな。
今回、パリで見た犬、これだけである。
やはり、行動半径が狭くなったのか。そのようだ。