パリ＋リスボン街歩き （２２） 北駅。
モンマルトルへ行く時に、メトロ４号線のシャトー・ルージュ駅で降りたのも、その前に北駅にいたからである。北駅は、シャトー・ルージュの２駅手前。その日の朝、Ａが「北駅へ行きたい」、と言った。お安いご用だ、急遽行くことにした。
パリには、フランス国鉄の大きなターミナル駅が幾つかある。どの駅も、ホームを３〜４０本持っているバカデカイ駅である。マルセイユなどの南フランスへ行く列車が出るリヨン駅。ボルドーなど大西洋の方へ行く列車の始発駅・モンパルナス駅。
まだあるが、ここ北駅は、アムステルダムやブリュッセル、そして、ロンドンへの発着駅。
今、世界最速の列車は、残念ながら新幹線ではない。ＳＮＣＦ（フランス国鉄）のＴＧＶである。アムステルダムやブリュッセルへ走る”タリス”、ロンドンへの”ユーロスター”も、フランスのＴＧＶ。
それはともあれ、北駅、とてつもなく大きい。メトロは地下へ入っているが、そこから上に出るのに苦労した。ずいぶん歩かされたが、やっと国鉄の駅構内に出ることができた。
列車の北駅構内。
右側に３０本ばかりのホームが並ぶ。タリスやユーロスター、その他の。左上の方に出発案内が出ている。
これである。ロンドン、ブリュッセル、アムステルダム、その他へ行く列車。
１２時０１分から１４時２５分の間に出発する列車、２０本が表されている。
大きな駅には両替所はつきものだ。
少し小さいが、この日の日本円のここでの両替レートは、買いは、０.８１３８、売りは、1.０１９６となっている。１ユーロを求めるのには、１２２.８８円を要し、１ユーロを円にする時は、９８.５６円しか得られない、ということ。さらに、これに加えて１０％程度のコミッションを取られる。
この日の為替市場のレートは、１ユーロ１０７〜８円程度であった頃。コミッションを含め２割程度も取られる両替比率、欧州では、どうも当たり前。
外に出る。北駅の正面、堂々たるもの。今、姿を現しつつある東京駅もなかなかなものではあるが。
駅前のカフェに入り、暫らく駅を眺めていた。
北駅の正面にある建物。
”北の終着駅”と何か所にも書いてある。建物の上の方は、ホテル・メルキュール。下の紫色の被いのブラッスリーは、１９２５年から、と書いてある。９０年近くになるのか。でも、そんなことは驚くにはあたらない。
北駅、１８４６年にできたそうだ。１５０年以上前、日本ではまだ徳川の時代。明治維新の２０年以上も前。
年季が入った駅だ。
駅前に小さな灰皿がある。大きな駅に較べ、何て小さな灰皿だ。
昨秋、私は煙草をやめた。孫の誕生、というやむにやまれぬ理由があったから。実は、フランスでも煙草を吸う人は確実に減っている。その理由が何かは、知らない。フランスは、喫煙大国であったのだが。建物内禁煙は、ほぼ徹底されてきたし。だから、北駅の前の灰皿もこんな小さなもので間に合うのかもしれない。
地下鉄のホームへ出るため駅舎の中に入る。メトロは下の方へ、という案内が出ている。
それはいい。この写真の前というか、先の方がプラットホームである。ロンドンへのユーロスターが出たり、ブリュッセルやアムステルダムへ行くタリスが出たり、という。
４年半前の大晦日、私はアムステルダムからのタリスで北駅に着いた。フランスが誇るＴＧＶである。たしかにいい列車ではある。でも、列車としては、日本の新幹線の方がいいような気がする。
４年半前、ひと月ばかり、列車で欧州を旅していた。１等と２等、さほど料金が変わらない、という理由で１等車で。日本では、グリーンに乗ったことなど数えるほどしかない。しかし、フランスのＴＧＶやドイツのＩＣＥなどの１等よりも、日本の新幹線の普通車の方が快適な感じがする。
日本の新幹線、最速はフランスのＴＧＶに奪われたが、素晴らしい電車である。
ただ、ただひとつだけ、タリスのサービス成る程な、というものがある。
アムステルダムからパリ北駅へのタリス、北駅へ着く１時間近く前、車掌が来て、何やら言いながら紙片を配っている。聞いてみると、北駅に着いた後タクシーを使う人は、事前に言ってくれれば運転手が駅に迎えに来る、というもの。
その紙片に名前やどこに行くかを記入すれば、駅のホームにタクシーの運転手が迎えに来る、という。これはいい。重い荷物を持っている人には、いいサービス、助かる。私も、紙片をもらった。少し経った後、車掌が紙片を回収に来た。
タリスが北駅の長いホームに着いた後、ホームの端に行くと、タクシーの運転手が待っていた。私のバッグを軽々と担ぎスタスタと歩いて行く。車を置いてある所まで来ると、荷物をヒョイと座席に置き、ホテルへ一直線。重い荷物を持つことのない私は、大助かり。
このサービス、日本では行なわれていないのでは。新幹線で京都や新大阪に着いた外国の人には、いいサービスになると思うのだが。重いバッグを持った人は大助かりのはず。
横道に迷いこんでしまったか、な。
