パリ+リスボン街歩き  (14) ポンピドゥー(続き×2)。

10日ほど前、オルセーについて書いた折り、厳密に言えば、オルセーは1848年から1914年の間の美術を担う、と記した。フランス2月革命から第一次世界大戦勃発の時までを、と。
それ以前のものはルーヴルに、それ以後のものはポンピドゥーに、と。
もちろん、ガチガチに年代が区切られているわけではない。柔軟に対応されている。ひとつの目安。大体である。しかし、1914年ないしその頃の時代、どういうものが生み出されていたのか。幾らか見知っているものから拾うと・・・

よく知られたこの絵が、1914年に描かれている。
ジョルジオ・デ・キリコの「ギョーム・アポリネールの肖像」。
若くしてイタリアからパリへ出てきたアポリネール、なかなかの色男。この頃は、パリのミューズ、マリー・ローランサンとの恋に破れ、傷心の内にあったはずだが、この”どうだ”ぶりは、どうだ。

ワシリー・カンディンスキーの作品「白の上で」。
これは、1923年に描かれたもの。カンディンスキーは、ロシアからパリへ出てきた。

マルセル・デュシャンの”レディーメイド”もこの頃の作品だ。
これは、「自転車の車輪」。1913年の作。

「新しい未亡人」、これは1920年の作。
なお、デュシャンの”レディーメイド作品”、世界中に幾つもある。後年、主に1960年代に再制作された。

少し小ぶりなデュシャンの「大ガラス」。
この作品は、1914年から1915年にかけて作られた。あちこちで何度か見たが、いつも人を惹きつける。何故だろう。

デュビュッフェだ。
昔、岡本太郎は、20世紀の絵描きでピカソを抜いた絵描きを3人挙げた。一人はデュビュッフェ、一人はフォートリエ、そしてあと一人は岡本太郎、と。以前にも書いたことがあるかもしれないが、いつもそれを思い出すと笑ってしまう。
しかし、デュビュッフェが凄い絵描きであることは確か。

あと一人、フォートリエの「人質」。凄い絵だ。
第二次世界大戦が終わった後の美術の世界、多くのスーパースターが出た。世界中が驚いたその初期のスーパースターは、ジャン・フォートリエであったであろう。

ロバート・ラウシェンバーグの「神託、至聖所」。1962〜65年の作。
正面の後ろに見えている作品は、やはりアメリカン・ポップアートの巨匠、ジム・ダインの作品だ。この作品は、ジム・ダインにしては少ししつこいが、ジム・ダイン、私の贔屓作家のひとりである。

アンディー・ウォーホルの作品は、今、世界中どこの近・現代美術館にもあるが、これは、「10人のリズ」。1963年の作。

ニキ・ド・サンファールだ。これは1965年の作、「磔」。
ニキ・ド・サンファール、半世紀前、お騒がせの絵描きであった。銃を撃って作品を作るなんてこともやっていた。いつかニースの現代美術館へ行ったら、ニキ・ド・サンファールと彼女のパートナーであったジャン・ディンゲリーの作品がいっぱい展示されていた。ニース、どちらかに関わりのある所であるようであった。

イヴ・クラインだ。
彼も、ハッと言わせた。虚を突いた。

フランシス・ベーコン。
フランシス・ベーコン、ヨーロッパでは我々が思う以上に凄い絵描きである。ロンドンの現代美術館であるテート・モダーンでは、ピカソとベーコンを対比させている。そういう絵描きである。
フランシス・ベーコン、私は、以前はさほど興味を持たなかった。でも、テート・モダーンで観て以来、少し考えを改めた。何だか、不思議な絵描きだな、と思うようになった。好きではないが、気にかかる作家ではある。