パリ+リスボン街歩き (13) ポンピドゥー(続き)。

ジョルジュ・ポンピドゥーがその名を残したポンピドゥー・センター、近代美術館として知られている。しかし、ここは綜合文化施設なのである。音楽の研究所もあれば劇場もあり、図書館もある。ジョルジュ・ポンピドゥーが望んだものができたようだ。私は、美術館と書店にしか入ったことはないが。
中に入り、あのムカデのようなエスカレーターで上に上がる。フランス風に言えば4階と5階、日本流に言えば5階と6階が常設展の展示場である。この上、6階(我々の感覚では7階)に特別展の展示場があり、今はマチス展をやっている。常設展だけでもアップアップなので、マチス展は観なかった。

4階(5階)の入口。

入口を入ると少し広くなっている。天井には、パイプが縦横に走っている。
ところで、左手手前の所に何かが積んである。ダンボールのようにも思える。実は、先ほどから、これが気になって仕方がない。何かよく解からない。以前に求めたポンピドゥーの図録を引っぱり出してみたが、このダンボールのようなものは出てこない。
如何にポンピドゥーの入口とは言え、入ってすぐにダンボールを積んであるとは思えない。作品に違いない。考えを巡らす内に、こう思った。ヨーゼフ・ボイスじゃないか、と。調べようがないから、どうとも言えないが、ボイスが怪しい。そういうこととしておこう。

ポンピドゥー、左右に長い。このように、中央に長い展示をするための廊下が続く。

長い展示の廊下。

ここにも。
左右には展示室が繋がっている。

大小さまざまな展示室。

ここも。

作家によっては、ただ一人で一つの部屋を占めている人もいる。
この中央奥の部屋は、ルオーの作品のみの部屋。15、6点が展示されている。

みんなが写真を撮っている作品、ゲルハルト・リヒターの作品である。
タイトルは、「1024色、No.350/3」。数えれば、1024の色面があるんだ、きっと。

多くのモニターがある部屋もある。

中には、”寝ころんで見てもイイよ”っていうモニターもある。

入口近くに、視覚障害者のための設備がある。
凹凸がついた画面を触ることによって絵を感じてもらおう、というもの。左端は、ピカソ、その隣りは、マックス・エルンスト。しかし、この程度ではまだまだ初期段階。ポンピドゥー、もっと気合いを入れなければ。
美術作品を視覚障害者に楽しんでもらおうという取り組み、大阪のミンパク・国立民族学博物館が進んでいる。ミンパクの研究者に視覚障害者がいることもあり、おそらく、世界の先端を行っている。欧米の美術館を凌駕している。常設展に於いても、視覚障害を持つ人が参加することができる試み、多くある。
この面ばかりじゃないが、梅棹忠夫が残したミンパク、日本が世界に誇る数少ない美術館、博物館の先頭を走る。

4階から5階(5階から6階)へのエスカレーターを上がった所に、幾ばくかのスペースがある。
左の方に、”国立近代美術館の原点”と書いてある。
その右の絵は、フェルナン・レジェのもの。その右に見えているのは、ジョルジュ・ブラックのもの。
そして、その右の方には、

これがある。アンリ・マチスである。
レジェとブラックとマチスか、それがフランス近代美術の原点、ということか。
私の感覚とは、ずいぶん異なる。しかし、フランスという国にとってはそうなのであろう、と考える。