岩手あちこち(12) リアス海岸。

釜石から大船渡への国道45号線、長いトンネルが幾つかある。釜石市と大船渡市の境も山の中、つまり、トンネルで分けられている模様。

市境のトンネルを抜けると、雪が舞う山の中。
三陸沿岸、特に、宮古から釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼、石巻にかけての三陸南部の海岸、リアス海岸である。
ノコギリ状のギザギザ。小さな入江が連なっている。しかし、海ばかりではない。すぐ山に繋がる。いや、山がすぐ迫っている。だから、リアス海岸、溺れ谷だ。


山の中を走っているな、と思えば、すぐに海に近くなる。
この写真、左の方が入江である。その右の方、やはり流されている。
リアス海岸・溺れ谷、入江が深いだけに、漁港としては適している。しかし、その分津波は大きくなるそうだ。

「これより 津波浸水想定区域」の標識があった。
しかし、昨年3月11日の大津波は、その想定をはるかに超えた。三陸沿岸、リアス海岸に沿った入江の漁村は、ひとたまりもなかったであろう。

この看板がある所でバスは停まった。だれも乗ってこなかったが。
三陸沿岸の地名、愛称がついている所が多い。ここは”よしはま”だが、”キッピン”という愛称で知られているようだ。昔から、アワビがよく採れたんだ。”アワビの海”だもの。
そう言えば、ここに限らず、”○○浜”という地名が幾つもあった。三陸沿岸だ。いずれも、いい漁港であったのであろう。

上方の海の方まで、何もない。
おそらく、漁港があり、漁師たちの家が立ち並んでいたであろうが。今は、まっ平らに整地されているよう。後で立てられたのであろう、電信柱のようなものが見える。
     ここは艸があんまり粗く
     とほいそらから空気をすひ
     おもいきり倒れるにてきしない
宮沢賢治 「風林」から3行のみ。

ここも入江。
左の方の先、遠目にも被害を受けているのが解かる。

この集落は少し高い所にあり、助かったようだ。

またトンネルがあった。「新三陸トンネル」と書いてある。

向こうに小さな集落が見える。
山が迫った三陸沿岸の集落、津波に流されたか免れたか、まさに紙一重。標高にもより、地形にもよる。

暫らくすると、「右 大船渡、気仙沼」の標識が見えてきた。
バスの終点は、盛という町。そこのサンリアSC前という所に着く。大船渡市の中心部、大船渡駅があったあたりは、大津波に襲われ壊滅した故である。
大船渡の盛に近くなってから、何人かの人が乗ってきた。しかし、すべて合わせても10人いたかどうか。私を含め釜石から乗ってきた4人を合わせ、10数人が盛のサンリアSC(SC、ショッピングセンター)前で降りた。
時間は8時少し前。寒い。
今は、大船渡の中心となっているらしい盛、その中心のサンリアSCも、開くのは9時。周りには何もない。バスを降りた人は、皆どこかへ行ってしまった。
しかし、バス停、サンリアSCの前にひとりの男がいた。釜石からのバスが着く前からいたようだ。その男と話した。陸前高田へ行く、という。
盛、大船渡は、明日にする。