ニューイヤーズ・イブ。

大晦日のニューヨーク、新年を迎えるタイムズスクェアのカウンドダウン、0時1分前にはボール・ドロップがある。仕切っているのはタイムズスクェア協会副会長のクレア。
ハル・ベリー、ヒラリー・スワンク、ミッシェル・ファイファー、ジョン・ボン・ジョヴィ、ロバート・デ・ニーロ、・・・・・、魅力いっぱい豪華キャストだ。大晦日のニューヨーク、8つの物語が展開する。シャレた役者を揃えなければカウントダウンは始まらない。

ニューイヤーズ・イブ、大晦日の夜のニューヨーク、さまざまな人生絵巻が綴られる。
8つのお話、みなどこかで聞いたような話、どこにもありそうな話じゃないか、という向きもあろう。でも、これがニューヨーカーなんだ、と思わせてくれる。監督のゲイリー・マーシャル、その点、心得たものだ。
「1年後のニューイヤーズ・イブに・・・・・」、という言葉を信じて、その女性を待つ資産家の御曹司もいる(その相手、馬車に乗って登場します。N.Y.だ)が、大方はほぼ普通のニューヨーカー。
永年務めた会社をやめ、どこかへ行ってしまいたい、と思っているオールドミスの女(ミッシェル・ファイファーが扮する。とてもいい)。その女のささやかな思いを叶えてやるバイク便の若い男。
新年一番に誕生した赤ちゃんには2万5千ドルのお祝がでるので、それを目指して産院でさや当てをくりかえす若い2組の夫婦。
カウントダウンから新年に変わった時、クラスのカッコイイ男の子とキスをしたい、と思っている15歳の女の子。あんたはまだ早い、まだ15歳なんだ、と引きとめ、つきまとう心配性の母親。
ロックスター(ジョン・ボン・ジョヴィが扮す)と、今はケータリング事業で成功している女の、”もう一度やり直そう”の話。
そのロックスターのバックコーラスの女の子(リア・ミッシェルが演じる。映画の終わりの方で、彼女が歌う「Auld Lang Syne」が流れる。「蛍の光」だ。リア・ミッシェルの歌唱、素晴らしい。惚れ惚れする)と、ニューイヤーズ・イブなんて面白くもないや、というひねくれた若い男とのお話。この2人、何てこと、エレベーター内に閉じこめられる。当然、ドラマが始まるでしょうが。
死が近い老人(ロバート・デ・ニーロだ。彼以外だれがいる、この役)と、彼を見守る看護婦(ハル・ベリーが扮する。ショートヘアーのハル・ベリー、なんてカッコイイんだ)のお話。ロバート・デ・ニーロが演じる死が近い老人、もう一度ボール・ドロップを見たいと思っている。その願い、叶うんだ。なお、ハル・ベリー扮する看護婦の亭主は、アフガンに派遣されている。現在のアメリカ、ニューヨークだ。
ヒラリー・スワンクはどうした。彼女は、タイムズスクェア協会副会長のクレアなんだ。カウントダウンを仕切る。
しかし、ボール・ドロップが上手くいかない。電気系統に問題があるようだ。エンジニアの男が呼ばれる。年寄りだ。今まで疎んじられていた男。だがこのジイさん、ボール・ドロップの故障直してしまう。ニューヨークだ。

このように、若い二人が寄りそうようなお話ばかりではない。
むしろ、そうでない話の方が多い。タイムズスクェアのニューイヤーズ・イブ、さまざまな物語を紡いでくれる。TOSHIBAの電飾看板が何度も出てきた。タイムズスクェアの電飾は、一時韓国企業に席巻されたが、多少は巻き返したのかな。
そう言えば、この映画には、悪いヤツ、悪人は一人も出てこなかった。ニューヨーク、悪いヤツも多くいるのだが。でも、タイムズスクェアのニューイヤーズ・イブには、悪いヤツは似合わないんだ、きっと。
NY好きにとっては堪らない。