しめ縄。

世の大方は箱根駅伝の日であるが、私には全国大学ラグビー選手権準決勝の日である。
しかし、今年はつまらない。何たることぞ、我が母校、準決勝へ進めなかった。ここ数年、帝京大が強い。実は、一昨年も準決勝へ進めなかった。2回戦で帝京大に敗れた。それまでの8年間、例年、準決勝どころか決勝進出が当たり前、というありようだったのに。
今年の帝京、3連覇がかかっている。今日のゲーム、すべてを見たわけではないが、帝京、強い。フォワードの力、惚れ惚れする。一時の明治のフォワードを凌駕するかもしれない。もちろん、筑波を一蹴した。
もう1試合は、天理大が関東学院を破り、決勝に歩を進めた。関西の学校が決勝へ進んだのは久しぶり。第一、準決勝に残るのも。ベスト4に、関西の学校が1校ぐらい入らないと面白くない。いいぞ、天理大。決勝は、おそらく帝京が勝つであろう。でも来週の中継は、天理に肩入れしよう。
帝京のゲームも、真面目に見ていたわけじゃない。実は、裏番組を見ていた。
NHKの裏で、「勝利への選択」という宿沢広朗を取りあげた番組をやっていた。宿沢広朗が、大学選手権の準決勝へも進めなかった今年のうっぷんを晴らしてくれた。そのようにも思える番組であった。
ラグビーが好き(このところ、サッカーも好きであるが)で、永年その中継は観ているが、今もって理解できないことのひとつに、SH(スクラムハーフ)は、どうしてあれほど小さな身体でなければならないのか、ということがある。
私の記憶に残るSH、皆おしなべて小さなプレイヤーばかり。敏捷性が求められるポジションである、ということは解かる。しかし、ハードコンタクトのスポーツであるラグビー、より大きくて俊敏な男など、いくらもいようものに、といつも考える。しかし、凄いSH、いずれも小さな男ばかり。
伝説のSH・宿沢広朗も、身長162センチの小さな男である。しかし、プレイヤーとしても優れていた宿沢、指導者としても凄かった。実は宿沢、ビジネスマンとしても優れていたようで、若くして住友銀行の執行役員となっているが、それは措く。
世界のラグビー界、トップ8がケタ違いに強い。昔も今も。
1989年の秩父宮、胸に桜のエンブレム、宿沢ジャパン、世界のトップ8の一角・スコットランドを破った。スコアは、28対24。追いつ追われつの接戦を制した。
その時の映像が流れた。
キャプテンは平尾誠二だ。フォワードには大八木敦史がいる。ナンバー8はシナリ・ラトゥーだ。SHは堀越正巳だ。快足ウイング・吉田義人のトライシーンもあった。平尾と大八木は同志社。ラトゥーは大東大。堀越は早稲田。吉田は明治。学生時代から見知っている。懐かしい顔と名前があった。
それらを束ねたのが、宿沢広朗。宿沢、ジャパンの監督になり、世界のトップ8・スコットランドとのマッチメイクが成った時、こう言ったそうだ。「勝つ。勝てる」、と。「勝ちたい」、「勝つように頑張る」、ではない。「勝てる」、と言った。みんな驚いた。ジャパンに召集された選手もビックリしたそうだ。監督の宿沢がそう言ったので。
現実にも、そうなった。胸に桜のエンブレムの宿沢ジャパン、世界のトップ8を破った。ジャパンがトップ8を破った唯一のゲームだ。NHK裏番組の映像、面白かった。
何ごとによらずできる男・宿沢広朗、5年前、55歳で亡くなった。バンカーとしても、期待されていたようであるが。
人の生とは、そのようなものかもしれない。有能な人が若くして死ぬ。私のようなどうでもいい人間は、まだ生きている。国家にとっても、理不尽と言えば理不尽。しかし、すべてが四角四面にいかぬところが人の世、というものかもしれない。
宿沢ジャパンの映像で気分を良くした私、今年の初散歩に出た。
のんびりと、あちこち寄り道をしながら初詣に行った。
重そうなしめ縄がかかっている近場の神社へ。その模様を、と思っていたが眠くなった。明日にしよう。