積み残し(続き)。

積み残し、紅葉の続きを。
東博の秋の庭園解放、今年は今月の11日まで開いていた。常の年よりやや遅くまで。この秋は、どうも紅葉するのが少し遅いそうだが、終わり間近かの今月初めの模様を幾らか。

庭園内、落ち葉が散り敷いている。

東博の庭園、さほど広いものではない。常緑樹も多い。全山錦繍に染まる、といった艶やかなものとは、その趣きやや異にする。
緑の間に間に紅が、といった方が相応しい。なお、左後方は、東博本館。

本館すぐ横の大島桜は、緑から黄、そして紅へ、一木で鮮やかなグラデーション。
春の白っぽい上品な花色同様、淡い色調のグラデである。

中央の池のほとり。
ここも緑と紅。これが、東博の紅葉だ。

応挙館の前。
この色調、何と言えばよかろうか。

この時季、紅葉にまつわる作品が幾つか展示される。
本館2階の第2室、国宝室には、これが展示されていた。
狩野秀頼筆の『観楓図屏風』。
室町から安土桃山時代、16世紀の作。紅葉の名所、京都洛北高雄の清滝川のほとりで紅葉狩りを楽しむ人々を、一隻に描いた屏風である。
車座になって酒を酌み交わしている人たち、唄い踊っている人たち、艶やかな着物でおしゃべりに夢中の女性たち。さまざまな人たちが応仁の乱の後のつかの間の平穏なひと時を謳歌している様、と解説にある。


右端のみを取りだすと、子供づれの女性が茶や酒を飲みながら紅葉を愛で、楽しんでいる様子が。

白綸子地枝垂楓笠模様の小袖。江戸時代、18世紀の作。
これは国宝ではない。念のため。でも、美しい。

全身に王朝風の模様を型鹿の子と刺繍であらわしたデザインは、元禄期に流行したスタイルだそうだ。
シャレてる。