願い、届かず。

ラグビーW杯、「ジャパン20年ぶりW杯勝利なるか」の一戦、成らなかった。願い、届かなかった。

フランス、ニュージーランド、トンガに敗れ、3戦全敗のカーワンジャパン、昨日は最終のカナダ戦。既に予選リーグでの敗退が決定している。しかし、最終戦、ジャパンの20年ぶりの勝利がかかる戦い、見ないわけにはいかない。日テレの放映、やはり夜中であったが、観た。

日本ゴール前の5メートルスクラム。
カナダとは、前回のW杯でも対戦し、引き分けている。実力は、五分、伯仲。
この後、前半7分、カナダに先制トライを許す。ゴールも決まり、7−0。

ラグビー選手には珍しい。カナダのフランカー、こんな髭を生やしている。
フランカー、スクラムの第3列、日本では、キャプテンの菊谷崇にあたる。体格も似たようなもの。それより、このフランカーの身長、体重、あのやせガエルの隆の山とまったく同じだ。余計なことだが。

カナダには、長い髭を生やした選手が、3〜4人いた。この写真にも、右側の選手2人、長い髭。まるで、丸太切り競争の力自慢の樵のよう。
ラガーマン、髭を生やした選手はどこにもいる。ジャパンにもいる。しかし、概ね、短く刈り込んだ髭が多い。このような樵髭のラガーマンは、初めて見た。プレーに影響しないか、と余計なことを考えた。だが、そのようなことはないようだ。
そんなことより、
前半10分、ジャパン、トライを返し、ゴールも決まり追いつく。さらに、アレジがPGを決め、10−7とリード。
前半終了間際には、スクラムからのボールを、田中→アレジ→ニコラス、再び、アレジとつなぎ、そこへ走りこんだ遠藤にボールが渡る。遠藤、そのままゴールポストど真ん中に、鮮やかなトライ。

これが、その場面。
ゴールポストど真ん中、しかも、流れるように鮮やかなパス廻しだったので、画面も、流れている。(そんなことは、ないか)
当然、ゴールも決まり、前半を17−7、10点差をつけて折り返す。これは、いけるぞ。

時計は、74分25秒。ノーサイドまで、あと5分余。
得点は、23−15。この間、ジャパンは、アレジのPG2本、カナダは、1トライ1PGを挙げている。しかし、あと5分余で、点差は8点。カナダは、1トライ1ゴールでも追いつけない。ジャパンの逃げ切り、濃厚だ。

ところが、ここからカナダに攻められる。
黒のジャージのカナダの突進に、ジャパン2人がかりで止めている。だが、タックルが高い。ジョン・カーワンの教えは、”低く”なんだから。

後半35分、つまり、ノーサイドまであと5分というところでトライを奪われる。
ところで、このゲームに限らず、こういう場面がしばしば出てくる。
左下に、”TMO DECISION PENDING”と出ている。判定中、ということ。トライが成ったかどうか、ビデオ判定を多用している。ゴールラインの攻防、両軍選手が入り乱れる。ボールがキチンとグラウンディングされたか、念入りに精査される。
結局、この場面でのカナダのトライ、認められた。ゴールは、外したが。これで、23−20。点差は、3点。1PGで、追いつかれる。ヤバイ。
そうなってしまった。この3分後、後半38分、カナダにPGを決められ、23−23。追いつかれた。
終了間際、アレジが、勝負を賭けたドロップゴールを狙ったが、外れた。あの状態では、とても難しいDGであったから、仕方ない。

時計は、81分37秒。ロスタイムも切れる。このすぐ後、ノーサイド。ドロー。
勝てるゲームだった。しかし、勝ちきることができなかった。20年ぶりのW杯勝利は、成らなかった。惜しい。
朝日には、清宮克幸が、W杯の日本の各ゲームのコメントを書いている。
清宮、昨日のゲームについては、「負けに等しい引き分け」、と記し、日本の戦術面のまずさをも書き連ねる。清宮の言うこと、そうかもしれないが、少し言いすぎだ。このゲームに限らず、清宮の言うこと、カーワンジャパンにきつすぎる。
今日の朝日夕刊、”素粒子”も、気に喰わない。
だいたい今の素粒子、来る日も来る日も、文句ばかり書いている。何ごとによらず。粗探しと、嘆きと、揶揄ばかり。私には、そう思える。
”素粒子”に選ばれるってことは、朝日のスター記者のひとり、ということだろう。そうじゃないか、オイ、素粒子。そうであるなら、少しは品位の窺われるものを書け。
<なでしこにならって五輪の女子ラグビーに期待かな>ってどういうことだ。<終了をノーサイドと言うのは今や日本ぐらい>とは、いかなことか。”フルタイム”とでも言えってことか。ならば、今日の朝日朝刊スポーツ欄に、”ノーサイド”という言葉が堂々と出ているのは、どういうことだ。社内不一致、説明しろ。
果たして、素粒子、昨日のカナダ戦、たとえ日テレの映像にしろ、観ているのかどうか、その上で書いているのか、疑う。

試合中のジョン・カーワンだ。
ジョン・カーワン、「低く、激しく、速く」をモットーに、ジャパンを鍛えた。オールジャパンとしては、過去最強と言われるチームを作り上げてきた。ただ、結果を残すことはできなかった。
オールブラックス戦で、主力を温存するなど、私にも納得できないことはあった。しかし、ジョン・カーワン、厳しく鞭打たれることはない。ましてや、揶揄されることなどない。ジャパンを愛した、いい指導者であった、と思う。
しかし、結果が出せなかったからには、カーワンはここまでとなるだろう。実際、そういう動きになっている。
あのジョン・カーワンでさえこうなのだから、次のジャパンのヘッドコーチ(監督)は、外国人でなく、日本人を、ということになるだろう。暗に、ジョン・カーワンの采配を批判していた清宮克幸も、その座を狙っているに違いない。
しかし、ハデな清宮克幸よりも、ジミではあるが堅実で、包容力のありそうな薫田真広あたりがいい。
オレがオレがの清宮や、気に喰わない素粒子の言に、年甲斐もなく頭に血がのぼってしまった(ようだ)。
ゲームからは、離れてしまった、か。「願い、届かず」なんてタイトルを打ったが、そんなこと、どこかに吹っ飛んでいってしまった。
時折り問題を起こす中国の鉄道同様、いささか脱線した、かもしれない。