ジャパンとは。

ラグビーW杯、現地ニュージーランドでは早い時間に行なわれているのだが、日本での放映は夜中。さほどの視聴率が取れるものとは思われないので、致し方ない。
昨日のトンガ戦もそう。結果は解かっているのだが、やはり、見た。

日本のヘッドコーチ、ジョン・カーワン、トンガ戦に賭けている。
このトンガ戦と次ぎのカナダ戦には、絶対に勝つ、と言っている。世界最強のオールブラックス戦に、大敗覚悟、主力メンバーを温存したのも、すべては、このトンガ戦の勝利のため。昨日のゲーム、今のジャパン最強のメンバーで臨んだ。

ゲーム前のトンガのウォークライ。
ニュージーランド、オールブラックスのウォークライは、ハカと呼ばれるが、トンガのそれは、シピ・タウ。

ウォークライ、オセアニアの国々のチームで行なわれる。ニュージーランド、トンガ、サモア、それに、フィジーの4か国。

呼称も異なる。しかし、その根は同じ、オセアニアの国々の闘いの舞いであり、雄叫び。
いや、みな強そうだ。ハンマーで殴っても、ハンマーがはね返されそうな身体をしている。スクラムハーフとウィングを除いては。

速さの日本、力のトンガ、と言われている。世界ランクは、日本が13位、トンガが15位。しかし、その実力、伯仲しているらしい。
しかし、ゲーム開始直後から、日本押しこまれる。日本ゴール前での攻防が続く。たしかに、トンガの攻撃、力強い。

前半7分、トンガ、トライを奪う。

前半14分であったろうか、日本、敵陣ゴール前での攻防を押しこんで、トライを挙げる。
しかし、日本、終始トンガに圧倒されていた。トンガの力強さに押され、ミスが出る。
アレッ、というようなトライを挙げられる。余計な反則で、ペナルティーゴールを与える。お互いに、得点を挙げるが、その差は開いていく。後半終盤、日本がトライを挙げてもおかしくないような場面もあった。しかし、その時も、決められなかった。拙いゲームをした、というより力不足だ。

時計は、76分27秒。スコアは、18−31。このまま、ノーサイドとなった。カーワンジャパン、2トライ以上の差をつけられ敗れた。
実は、日本、W杯には、7大会連続で出場しているが、この20年間、一度も勝っていない。20年ぶりのW杯での勝利、今回も逃した。ゲーム前のシピ・タウに怯んだわけではないだろうが、何が何でも勝つんだ、という意識に囚われ、緊張しすぎていたキライがある。だから、つまらないミスが多く出た。
なお、右下は、プールA(A組)の星取表。
勝ち点は、勝ちが4点、引き分けが2点、負けは0点、となる。さらに、4トライ以上獲得すれば、1点、7点差以内の敗戦、つまり、惜敗の場合も、1点、ボーナスポイントが加算される。
だから、2戦2勝のニュージーランドとフランスは、ボーナスポイントも加え、10点となる。トンガは、この日まで2戦2敗だが、カナダ戦での惜敗があるので、1ポイントとなっている。この日、日本に勝ったので、勝ち点5となった。カナダは、トンガに勝って、4点。日本は、2戦2敗で、0点。この日も負け、3戦3敗、依然0点。
日本、A組の最下位、もちろん、決勝リーグになど進めない。これじゃ、カナダに勝つことも難しいのじゃないか。
しかし、ラグビーというゲーム、面白いスポーツなんだ。どこか自虐的な楽しさがある。自陣ゴール前の5メートルスクラムが堪えられないように、攻められれば攻められるほど、その面白さが増してくる。オールジャパン、カーワンジャパンの面白さも、そこにある。

ゲーム後、ジャパンのキャプテン・菊谷崇、几帳面に話していた。次のカナダ戦には、頑張る、と。
ラグビーの対外試合・テストマッチ、他のスポーツと異なる。ジャパンのキャプテンは、菊谷。日本人である。しかし、ジャパンの中には、多くの外国出身の選手がいる。中心となる選手に多い。帰化した選手もいるが、そうでない選手も。
アレジからリーチにパスが通り、走りこんだニコラスライアンへ渡った。これ、日本の攻撃だ。どこか、違和感を持たないでもない。
ラグビーの場合には、日本で生れたとか、両親、祖父母の内、一人でも日本人であればとか、3年以上継続して日本に居住していればとか、といった緩い条件で、その国の代表になることができる。だから、ジャパン、日本の中心選手、外国出身が多くいる。
今は、行かなくなったが、暫く前までは、第三世界の国々も含め、あちこちへ行っていた。だから、外国人に対する嫌悪感など、まったくない。差別をされたことはあるが、差別をしたことはない。どの国の人も、好きである。
しかし、それと共に、日本という国を考えるのも事実。スポーツの世界でのテストマッチ・国別対抗、特にラグビーの場合、ウーン、と思うのも正直なところ。ジャパンだからなー、と。
人間だれしも、年を取ると、ナショナリストになるものである。しかし、ラグビーの場合、それを差し引いても。
ジャパンとは、と。