やせガエル。

今日の朝日夕刊、向井万起男の『大リーグが大好き!』に、トテモ大事なこと(本人、向井の言)が出ている。
映画『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年)に、2人分のホットドックとビールを買うシーンがあるそうだ。私も観たが、そんなこと憶えているわけはない。その値段が、7ドルか10ドルか、という問題だ。
7ドルにしろ10ドルにしろ、20年以上前には為替レートも違っていたろうし、そんなものかも知れないな、なんて問題ではない。トテモ大事な(向井の言)問題なんだ。
7ドルか10ドルか、向井万起男、日本語、英語、ポルトガル語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語の字幕のついたDVDをチェックする。
で、結果は、7ドル。向井万起男、突きとめる。日本語とスペイン語の字幕だけが、正しかったそうだ。まあ、お尻の方に昨今の経済情勢のことも出てはくるが、向井、トテモ大事なことの検証結果を発表している。
ところで、向井万起男の検証結果ほど、トテモ大事なことではないが、秋場所でも、トテモ驚くべきことが起こっている。
臥牙丸が、様変わりしている。優勝戦線に踏みとどまっている。全勝の白鵬をひとり追っている。トテモ驚くべきこと。
今日も、把瑠都の突っ張り、のど輪をしのぎ、初挑戦の大関を屠った。大きな身体を持てあまし、すぐ前に落ちた臥牙丸はどこへいった、という変わりよう。トテモ驚くべきことだ。
一昨日、9日目、今場所の人気者・隆の山、その臥牙丸と当たった。

初日から5連敗の隆の山、やはり、幕で取るのは無理がある、と思っていた。そうも書いた。せめて、4〜5勝でも挙げさせてやりたい、と考えていた。
ところがどうだ。6日目から3連勝した。6日目に、寄り倒されながら、相手の勇み足で星を拾ったのが、運を呼び込んだ、ともいえる。その翌日は、掛け投げ、その翌日は、なんと寄り切りで勝った。やせガエルが、寄りきった。
だから、8日目を終わり、まさかまさかの3勝5敗。臥牙丸は、2日目から負けなし、白星を連ねている。

この一番、人気を呼んだ。身長は同じだが、体重は倍違う。100キロも。これも相撲の面白さ。

蹲踞。
体重は半分だが、こうして見ると、身体の幅は、半分もないように思える。

仕切り。
隆の山、部屋では、やせガエルと呼ばれているらしい。この仕切りの姿、たしかに、やせガエル。
隆の山、鳴門部屋の力士である。親方は、元横綱の隆の里。あんこ形の力士であった。部屋の関取りには、稀勢の里、若の里、高安がいる。みな、身体に恵まれた力士ばかり。それどころか、入門して日の浅い取的連中よりも、細いのじゃないか。

立会い一瞬、隆の山、左へ変わり、臥牙丸の太い腕をたぐる。
まともにいっても敵わない。初めから、こういこう、と考えていたそうだ。

しかし、すっぽ抜ける。

土俵下へ、ふっ飛ばされた。
隆の山、幕内に定着することは難しかろう。だが、もし将来、隆の山が幕内に定着するとでもいうことがあると、臥牙丸との一番、大相撲の看板取組みとなること、間違いないのだが。

隆の山、今日の相手は、大道。仕切りの姿、やはり、やせガエルを思わせる。

すくい投げで敗れた。
隆の山、体重が、せめてあと2〜30キロ増えてくれたら、と言っている。チェコから来て相撲の世界に入り10年。10年間チャンコを食ってこの身体。これからも、体重が増えることはないだろう。やせガエルのままでいいのじゃないか。やせガエルの相撲を磨けば。
     やせ蛙まけるな数多のファン是にあり     偽一茶
今日は、トテモ大きな台風が上陸した。窓の外、激しい雨と烈しい風。
被害を受けた地や、家に帰ることができない人も多くいるようだ。そのような時に、こんな暢気なことを書いて、ナンなんだが。