カーワンジャパン。

今でこそ、ザックジャパンだ、なでしこジャパンだ、なんてことを言っているが、サッカーのテストマッチを観るようになったのは、フランスでのW杯の時から。せいぜい、10年少し前からだ。
サッカー自体、あまり好きではなかった。なかなか点が入らず、まどろっこしいスポーツだな、と思っていた。今では、好きになったが。
しかし、私が最も好きなボールゲームは、ラグビーである。以前からずっと。今も。
関東大学対抗戦、大学選手権、日本選手権、よほどのことがない限り、主な試合は観る。TV観戦ではあるが。何年か前、五郎丸のいるころ、早明戦を神宮に観に行った。だが、雰囲気は楽しめるが、神宮は広すぎ、TVの前の方が臨場感があり、面白い。それはともかく、
ラグビーのテストマッチは少ない。サッカーに較べ、マイナーなスポーツであるからだろう。日本には、ラグビーのプロ組織はないし、知られてはいるが、そう一般的なスポーツではない。
そのラグビーのワールドカップ、ニュージーランド大会、始まった。

1987年から始まったW杯、今回が第7回大会。参加国は、20か国。
今日は、日本の初戦。相手は、世界ランク4位の強豪・フランス。なお、日本のランクは、世界13位。
オッ、日本のランク、そこそこなんだ、と思いがちだが、そうではない。ラグビーが盛んな国が少ないことを、考えなくてはいけない。さらに、トップ10の国と、それ以下の国との力の差、歴然と違う。
「胸に桜のエンブレム」、これがラグビー日本代表の変わらぬ印。桜のエンブレムの戦士、強豪・フランスにどう立ち向かうのか。楽しみだ。

フォワード、今日の先発メンバー。
6番、フランカーの菊谷崇が、日本代表のキャプテンだ。

日本代表のバックス。
11番、ウィングの小野澤宏時は、W杯3大会連続出場。日本代表最年長の33歳。キャップ数(対外試合出場回数)64を誇る俊足のトライゲッター。
それにしても、日本の先発メンバー15人の中、6人は外国出身の選手である。ニュージーランドやトンガ出身の選手。日本へ帰化した選手もいる。が、ラグビーでは、たしか、その国に3年以上住んでいれば、その国の代表になれる、という規定があるようだ。その点、サッカーとは異なる。

日本代表のヘッドコーチ(監督)は、ジョン・カーワン。2007年から、日本代表のヘッドコーチを務める。
今、ラグビーの世界ランク第1位は、ニュージーランド。ジョン・カーワン、そのニュージーランドの英雄である。
ニュージーランド代表チーム・オールブラックスのスタープレイヤーであった。日本代表、そのカーワンが指揮をとる。だから、日本代表、カーワンジャパンだ。
日本代表、今まで、宿沢ジャパン、平尾ジャパン、その他、日本のスタープレイヤーが指揮をとったオールジャパンがあった。しかし、カーワンジャパンは、これまでのどのジャパンよりも強くなっている、という。
ジョン・カーワン、はるか格上のフランスに、ひと泡吹かせてやろう、と考えている。

ゲームが始まる。開始からさほどの時間も経たず、フランスに押しこまれる。2トライ、ゴールも決まり、14−0と。
そこから、ジャパンも踏んばる。赤いジャージが日本。

これは、後半開始直後の映像。
前半40分、日本、11−25で折り返した。これからだ。

と思ったら、後半開始3分後あたり、フランスに攻め込まれた。日本のゴール前5メートルでの攻防が続く。


フランスの重量フォワード、押しこむ。

日本、耐える。
ラグビーで何が面白いか、と言って、自陣ゴール前の5メートルスクラムほど面白く、興奮するものはない。
バックスの華麗なパス廻しで、俊足ウィングがトライを挙げる、というのも、それはそれでいいものである。しかし、自陣ゴール前の5メートルスクラムで、押しに押される。それに、耐えに耐える。この感覚こそ、ラグビー特有のもの。堪えられない。
カーワンジャパン、フランスの猛攻を、耐えに耐えた。

トライ取られたか。
今は、テレビマッチオフィシャルがある。レフリーが、試合の映像を再確認する、という制度である。トライ、取られてはいなかった。ジャパン、頑張った。

日本のゴール前での5メートルスクラム、まだ続いた。
しかし、カーワンジャパン、それを防ぎきった。よく耐えた。

フランスの猛攻を耐えに耐え、防ぎきったカーワンジャパン、後半8分には、ジェームス・アレジがこの日2本目のトライをあげた。16−25となる。ゴールキックも決め、18−25。いいぞ。

さらに、日本の猛攻は続く。フランスゴール前に攻めこむ。

日本、攻めに攻める。ペナルティーキックも決める。21−25、4点差までに詰め寄る。1トライで逆転、というところまで。
強豪フランス、明らかに慌てていた。こんなはずじゃないはず、と。ひょっとして、と思わせた。

この映像の、時間を見ていただきたい。59分55秒だ。
この後も、カーワンジャパン、踏んばった。この後、5分程度は。そこまでは、4点差で食らいついていた。1トライで逆転、というところに。
しかし、残り15分で地力の差が出た。たて続けにトライを奪われた。


ノーサイド。
終わってみれば、21−47、ダブルスコア以上の結果であった。実力差そのままの結果である。しかし、とても面白く、素晴らしいゲームであった。
自陣ゴール前の5メートルスクラム。強力フォワードで押しこまれても、耐えに耐え、トライを許さなかった。2度までも。
自陣ゴール前の5メートルスクラムの耐えに耐える様、その醍醐味、充分堪能させてもらった。