戦力外通告。

サッカー元日本代表の松田直樹が死んだ。
テストマッチにはシャカリキになるが、普段はJリーグのゲームを見ない。だから、松田直樹と言われても、すぐには解からなかったが、写真を見て思い出した。日韓W杯、トルシエジャパンの時のディフェンダーだ。宮本恒靖、川口能活、中田英寿、稲本潤一、小野伸二、・・・・・、懐かしい連中の顔を思い出す。その中に、松田直樹もいた。
しかし、JFLの松本山雅というチームも知らなかった。J1、J2より下のリーグだから、知るわけもない。昨シーズン終了後、16年間在籍した横浜マリノスから戦力外通告を受け、今シーズン、JFLの松本山雅に行った、という。プロスポーツの世界、よくあることだ。
松本山雅での練習中に突然倒れた。練習場には、AEDがなかった。病院へ運ばれたが既に心肺停止状態。もし、練習場にAEDが備えられていたら。一昨日、こういうニュースを読んだ。
J1やJ2には、AEDの設置が義務づけられているが、格下のJFLはそうでなくてもいい、という。それを知り、昨シーズン末、松田直樹に戦力外通告を告げた、横浜マリノスの経営陣や監督のことが頭に浮かんだ。彼らの頭は重いだろう、と。
J1の横浜マリノスの練習場には、もちろん、AEDはある。だが、格下であるJFLの松本山雅の練習場には、AEDはない。AEDがあったからといって、松田直樹が助かったかどうかは解からない。横浜マリノスの経営陣や監督には、なんら責任はない。
しかし、16年間、横浜マリノス一筋、いわば生え抜きの選手に戦力外通告をし、AEDのないJFLへ行かせたことは事実。重苦しく、複雑な気持ちに囚われているだろう。
プロスポーツの世界、毎年、戦力外通告は行なわれている。働きがない、と査定された選手に対し。時には、まだ十分力はあるが、給料に見合う力はない、と査定されることもある。ベテランプレイヤーの場合はこれに当たる。あのジュビロ磐田のゴン中山でさえ、戦力外通告を受け、北の彼方のチームへ移って行った。松田直樹の場合も、おそらく、このケースだったろう。
戦力外通告、いわば、クビだ。実は、プロスポーツの世界に限らず、あちこちの世界で、ままある。企業の業績が厳しくなり、どうしようもなくなり、このままでは倒産か、という時には、従業員の首を切らざるを得なくなる。企業そのものを守るため。
切られる方は、もちろん辛い。理不尽だとも思う。切る方も、辛い。仕方ない、やらねば、と思いつつも。大震災後の東北でも、このようなケース多くある。
戦力外通告を松田直樹に告げた横浜マリノスの経営者、気が重いことだろう。おそらく死ぬまで、松田直樹のこと、頭から離れることはないだろう。